People In The Box
『Wether Report』の中には、同じフレーズを使っているが歌詞が全く違う、対のような曲が2つある。 『砂漠』と『大砂漠』 『投擲』と『脱皮後』 砂漠、アラビア。 サハラ砂漠。 砂以外になにも存在のない、寂しい場所を風が吹き抜ける。 『気球』から風景を…
全21曲、トータル70分、1トラック。 曲調はポップな物も多いのに、魅せ方についてはポップさをかなぐり捨てた『Wether Report』。 「聴く人を選ぶ」と言ってしまえば簡単だが、それでは少し語弊を感じる。 「普通とは違う事をやってる音楽を選んだ人に聴いて…
きみは息をしている。 さようならを二度聴いて 痛めつけられた記憶があって 無感動と孤独のダンスに拍手を送った 温かみのあるオレンジ色のジャケットに反して、その中身は、悲観的で冷笑的な、どれも辛さを少しずつ伴う曲たちだった。 でも、素晴らしかった…
<清潔な流し台を鮮血が走る> 『みんな春を売った』から続く物々しさが、『市場』でもむき出しになる。 甲高いブレーキ音のような弦が響く、だけど音楽のブレーキはかからない。 リフレインするギターのラインは思ったよりキャッチーだが、音のリズムと言葉…
春。 青春。 売春。 意味深なタイトル。 ゆえに人と「『みんな春を売った』っていう曲、好きなんだよね。」とは話しづらいから。 だから、読む音楽で残す。 自分はこの曲が好きだ。 <ゆうべ からだを売ってみたんだ こころを切り離すために> 抽象的なイメ…
『割礼』の歌詞で初めて「物質」というワードが出て来る。 (曲名『物質的胎児』は除く) 物質の洗礼、東京。 言い得て妙な都会の形容。 <あの東京にも原始時代はあった>と、物で溢れる首都をフラットな場に引きずり下ろすクールな一撃。 「割礼」ユダヤ教の…
カントリーソングのような、懐かしみのある、温かいギターの音色がする。 <哲学者の友達はきびしかった 遂にぼくを許してくれなかったけど 嘘だけは絶対につかなかった "ついていい嘘なんてあるわけがない" 死んでしまってからも ぼくはそれを誇りにおもう…
<あんぜんな みどりむし> 初めて聴いた時、このワンフレーズにやられた。 頭の中にぐるぐると残り続けたこの歌詞が、どうやらとても衝撃的だったみたい。 安全でないミドリムシってあるのだろうか? そもそもミドリムシの形容詞として「安全な」って普通じ…
<球体に守られて 誰もが痣だらけ> 痣、という鈍色の単語に想起されるような、錆ついたドラムの音で始まる。 "球体"に守られているにも関わらず、痣だらけで守られていないと言う、矛盾と皮肉を音楽で包んだシュルレアリスム的歌詞世界が我々を引き込む。 …
<ひとがいうには 「すぐに治るよ きみのこころは 仲間の待つ仕事に戻れよ 今日のところは」 もしかしたら そうかもね みんないうなら そうかもね> この歌詞を聴く時、読む時、書き起こす時。 なんていい歌詞なんだと思う。 <きみ>のこころは多分、治らな…
※セトリは覚えてる範囲です。 ぐっとなったのはミネルヴァ、一度だけ、潜水 ミネルヴァ、格好良すぎる。 「締め付けるワイヤー」からグルーブがぎゅっとなるのが気持ち良いんだよねー。 一度だけはハイパーロックエディションだった。(cut fourのアコーステ…
【00:00】 ジャキジャキ鳴るベースが格好いい。 どこか緊張感のある前奏。 これから何が始まろうとしているのか。 【00:32】 <大きく渦巻く自転車置き場の海> たくさん並ぶ自転車を海と捉える表現は初めて聞いた。 あ、でも言われてみればそう見える。 …
何かが明けるような、始まるような、だけど期待に満ちたというには少し、荒々しいメロディで始まる。 歌詞の書き方も奇妙だ。この曲の歌詞は、全て「」で括られている。会話だ。“ぼく”と“きみ”は、日曜日、初めて対話する。 『「水滴のようだよ もういまにも…
雨音の垂れる音のようにぽろぽろ鳴るギター 金属の屋根にしたたるしずくのような冷たい、それでいて優しいシンバルの音 息を吸って、吐く 深い呼吸のように通奏するベース 「朝、蒸気のような雨が吹きつけて 通りは輝きだした 目の褪せたサイコロを振って 思…
木曜日とは打って変わり、華やかに始まる金曜日。 全てが解決したかのような、開放的な音とは対照的に、歌詞の世界では良くない事が起こっている。 「Aは花を散らして Bは踊る CとDはどうやって夢を見る?オピウム?」 オピウムは、英語でアヘンもしくは麻薬…
火曜日は出来事で、水曜は回想。 楽しかった頃の記憶。 彼女との日々は目まぐるしく、遊園地みたいに楽しかったんだろう。 前半の、怒涛の音、リズム、エモーショナルな演奏。 不穏さや不安を含んでいるのに、自然と体が動いてしまうリズミカルなフレーズが…
出来事としてのスタートは『火曜日』ではないでしょうか。 『彼女は消えた』事から始まる、1週間の出来事。 何かを示すような単語が散りばめられており、考察心をくすぐりますね! 『空室』は彼女が消えて居なくなった部屋の事だろう。 消えたのは『8月』、…
始まりましたGhost Apple。 1番好きなアルバムです。 「コンセプトアルバム」というものを初めて知った作品でもあります。 格好良すぎてもんどり打ちました。 テーマ(コンセプト)としては、病を患った"きみ"と"ぼく"の1週間の出来事、という感じでしょうか。…
個人的に"ラスボス"と呼んでいる。 音の圧力、歌詞の世界観の凄まじさ、最後に待ち受ける圧倒的なカタルシス。 それまでどんな曲を聴いていても、ヨーロッパの前奏のためにドラムが鳴り出せば、一瞬で我々はその世界に没入させられる。 半分はポエトリーリー…
歌詞は、2つの角度から読み取れる。 "きみ"は眠り続けているが、本当に眠っているのだろうか。 それとも、永遠の眠りについてしまったのだろうか。 緊張感のあるAメロの演奏。 歌詞の意味は簡単には読み解けないのだが、とにかく何か、悪い事が起こる前触れ…
タイトルには入っているのに、歌詞に"月曜日"は登場しない。 代わりに現れるのは「夜が更けたまま明けぬ日曜日」。 この表現、素晴らしくないですか…………… 0時を超えたら一応次の日、だけど夜が明けなければそれはまだ今日の日。 感覚的というか、詞的という…
こういう言葉で表現していいのか分かりませんが、名曲。 もっと良い表現があると思うんだけど、自分の引き出しには入っていない…。 キラーフレーズばっか。 「朝焼けがいつも投げかけるエックスレイ ぼくは一瞬だけいないはずの存在になる」 「白昼夢が続き…
『完璧な庭』は"爽やかな鬱"と表現しましたが、こちらは純粋に"爽快"。 海という言葉も、爽やかさをイメージさせるしね。 「もう一度そこに行きたい、だけ」 「もう一度そこに行きたい 居させてきみの街に」 ここがね~~~凄く好きですね。 海に反射する光…
最初に聴いた曲は『ペーパートリップ』、1番好きな曲は『日曜日/浴室』、1番多く聴いた曲は『完璧な庭』です。 ほんっとにMV何回も見た。 衝撃だった。 鬱々とした雰囲気、描かれるイラストは可愛らしいのに全てが不穏さを含み、カップルは切り裂かれて血が…
最初の方だけ千葉県民向け感想。 千葉県民以外の方は飛ばして貰って大丈夫です。 【国道296号】 国道296号は、千葉県匝瑳市(そうさし)から船橋市に至る一般国道である。(Wikipediaより) 長らくぼーーっと聴いてるだけだったが、ある日296号線を調べてわーー…
思い出話。 She Hates Decemberでも触れましたが、この曲がピープルとの出会いでした。 曲を聴いたのはニコニコ動画の『ペルソナ4』のMADが初めてですが、存在自体は当時Twitterでフォローしていた『邦楽歌詞bot』で知りました。 2000~2010年に活躍していた…
『六月の空を照らす』 気持ちのいい曲です。 サビがハッキリしていて、テンポも分かりやすいので結構J-POP寄りなんじゃないかと思う。(Peopleの中ではね!) 後奏は絶対頭を振りたくなりますね。 ティッテイリ(パァン!) ティッティッティー(パァン!) テッテッテレンテ テッテッテー (ドッ タッ タァン…
「音楽で遊んでんなー」って感じが強くして、大好きな曲。 静かに入って、結局轟音で終わるのが好き。 優等生のフリをしてるけど内側の凶暴性を結局隠し切れなかった、みたいな。ギャップとか二面性のある人、好きなんですよね。人じゃないけど。 でも最後の…
ライブだと、福井さんがベースを持ち上げる。短く爪弾く。ノイズ混じりのその音はいつも「鳥の声みたいだ」と思っていた。 だいたい最後の方にやるから、終わりの曲という印象がある。これが始まったら、終わり。 鳥の声の中、「今日はどうもありがとう」と…
「きみは痛いのが好き? ぼくは汚すのが好き」 ほの暗いけど、これは確かにラブソング。 共犯者になった2人のラブソング。 歌詞は、"彼"視点で描かれている。 彼がけしかけて、彼女にも罪を犯させたようだ。 彼はおそらく、彼女の感情について興味無かったん…