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読む音楽 ライブ感想・曲感想など。使用している画像は全て自作です。 X:@tbk_pd

2022-01-01から1年間の記事一覧

市場

<清潔な流し台を鮮血が走る> 『みんな春を売った』から続く物々しさが、『市場』でもむき出しになる。 甲高いブレーキ音のような弦が響く、だけど音楽のブレーキはかからない。 リフレインするギターのラインは思ったよりキャッチーだが、音のリズムと言葉…

みんな春を売った

春。 青春。 売春。 意味深なタイトル。 ゆえに人と「『みんな春を売った』っていう曲、好きなんだよね。」とは話しづらいから。 だから、読む音楽で残す。 自分はこの曲が好きだ。 <ゆうべ からだを売ってみたんだ こころを切り離すために> 抽象的なイメ…

割礼

『割礼』の歌詞で初めて「物質」というワードが出て来る。 (曲名『物質的胎児』は除く) 物質の洗礼、東京。 言い得て妙な都会の形容。 <あの東京にも原始時代はあった>と、物で溢れる首都をフラットな場に引きずり下ろすクールな一撃。 「割礼」ユダヤ教の…

ダンス、ダンス、ダンス

カントリーソングのような、懐かしみのある、温かいギターの音色がする。 <哲学者の友達はきびしかった 遂にぼくを許してくれなかったけど 嘘だけは絶対につかなかった "ついていい嘘なんてあるわけがない" 死んでしまってからも ぼくはそれを誇りにおもう…

物質的胎児

<あんぜんな みどりむし> 初めて聴いた時、このワンフレーズにやられた。 頭の中にぐるぐると残り続けたこの歌詞が、どうやらとても衝撃的だったみたい。 安全でないミドリムシってあるのだろうか? そもそもミドリムシの形容詞として「安全な」って普通じ…

球体

<球体に守られて 誰もが痣だらけ> 痣、という鈍色の単語に想起されるような、錆ついたドラムの音で始まる。 "球体"に守られているにも関わらず、痣だらけで守られていないと言う、矛盾と皮肉を音楽で包んだシュルレアリスム的歌詞世界が我々を引き込む。 …

時計回りの人々

<ひとがいうには 「すぐに治るよ きみのこころは 仲間の待つ仕事に戻れよ 今日のところは」 もしかしたら そうかもね みんないうなら そうかもね> この歌詞を聴く時、読む時、書き起こす時。 なんていい歌詞なんだと思う。 <きみ>のこころは多分、治らな…

「価値」

www.cinra.net CDベースの時代とサブスクの時代を比較すると、お金の流れ方が変わったんです。そのことによって、これまで稼げていた人が稼げなくなった。それによって「サブスクでは稼げない」という言論が生まれていると思います。 目に見えない物の価値は…

正弦定理と二十二日の夜の夢

2022.10.16 People In The Boxの正弦定理 追加公演 前半 レビュー 後半 創作活動に関する所感 1:Alice ギターの「ジャッ、ジャッ」という音が響いた瞬間、鳥肌が立った。 「揺れる日傘」という甘い響きから、この世界に落とされて行く感覚が大好きだ。 2…

S字曲線

5月6日 渋谷O-EASTPeople In The BoxのS字曲線 旧市街 火曜日 笛吹き男 6月の空を照らす 見えない警察のための あなたの中の忘れた海 汽笛 ブリキの夜明け サイレン いきている 新曲(bran new world) 風景を一瞬で変える方法 ニムロッド スルツェイ JFE ・火…

雨の/ドミコ/日比谷野音

●問題発生です 照明がついた瞬間、雨が光った。思ってたよりもたくさん雨が降っていて、びびる。構わず始まる演奏、赤紫のライト。明るみになったレインコートの観客が揺れ始める。東京のド真ん中で雨ざらしになって音楽を聴く、なんとサイコな事やってんだ…