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月曜日/無菌室

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始まりましたGhost Apple

1番好きなアルバムです。

「コンセプトアルバム」というものを初めて知った作品でもあります。

格好良すぎてもんどり打ちました。

テーマ(コンセプト)としては、病を患った"きみ"と"ぼく"の1週間の出来事、という感じでしょうか。

いや、分かりやすく考えているだけだな。

おそらくそんなの"ガワ"だけで、中身にどんな解釈が入っているのか、触れてみて味わってみないと分からないでしょう。

中身が空洞の可能性もある。

この林檎は幽霊なのだから。

 

無菌室と名付けられた月曜日。

このタイトルがブラフとなって、"病気の人の話なんだな"と錯覚させる。

もちろん、その通りかもしれないけれど、これまでの曲を聴いてきた身としては「Peopleがそんな分かりやすいストーリーを出してくるか?」という疑いもある。

 

始まりのティロ↷リロ⤴リロ⤴リロ↷リーンリーン、ティロ↷リロ⤴リロ⤴リロ↷リーンリーン、という可愛らしく煌めくようなギターが、朝日の輝きに感じる。

太陽の中で愛されることを良しとしない"きみ"が登場する。

そういえば15年前、太陽の光に当たれない病気を持つ女の子が主人公のドラマがあったな。

 

儚い印象の歌詞に反して熱の有り余るドラムが引き金となり、3つの楽器がサビに一気に雪崩れ込む。

そのエネルギーに溢れた演奏が、薄弱な"きみ"に対する"ぼく"のどうしようもない生命力を感じさせる。

 

『ようこそ

ここは舞台で女優が消えた場面さ』

女優の喪失を悼むような、とても静かな数秒間。

最後のサビは、慟哭のように思える。

彼女は消えてしまった。

 

『きみの好きな唄をうたう 唄をうたっている

ずぶずぶずぶ蝕んで 蝕んでいく』

蝕まれているのは"きみ"なのか、それとも"ぼく"なのか。

病気に蝕まれている"きみ"とも解釈できるし、"きみ"を失う"ぼく"が、喪失や悲嘆や苦しみに蝕まれていくとも解釈できる。

"きみ"が元に戻らないと分かっていても、うたう事で元通りになるんじゃないかと、半ば狂気のような悲しみに蝕まれている、そんな画が浮かびます。

ありふれた映画みたいで、格好つけすぎな、かわいそうな場面。

 

出来事としてのスタートは『火曜日/空室』だと思っているんですが、詳しくは火曜日の時に。

『月曜日/無菌室』は、"事件が起こった場面"として、プロローグ的な立ち位置に思えます。

映画の冒頭で、事件の最中から始まって、過去に何があったのかを追想するような構成がありますが、そういうイメージ。今ぱっと思いつくのが『デッドプール』しか無いんですがGhost Appleと死ぬほど世界観合わないな。

 

有名な話ですが1曲目の『月曜日/無菌室』はノイズで始まり、最後の『日曜日/浴室』は、同じノイズで終わるため、1週間ループ説もあるんですよね。

ループ説については、全て終わった日曜日の時に考えてみたいと思います。

 

Ghost Appleは解釈や考察サイトが多かったので、初聴き当初、漁るように読んでいました。「なんじゃこりゃー!油田だー!」っつって。

今回、昔読んだサイトを改めて巡ってみましたが、やっぱり面白かったです。

 

歌詞だけ読むと男女間の恋愛の話のように視えるのですが、青年よりも少年に近いような、純粋な歌声や、"切なさ"より"エネルギー"の方が強く届く演奏が違和感となって、それだけではない気にさせます。

それが映画や漫画と違う、"考察が必要な音楽"の面白さなのかもしれません。

もちろん、歌詞を見なくても、音楽が素晴らしいので、ただただ聴くだけでも楽しいのですが…

音楽の方についても書こうとすると日付を跨いで月曜日が終わってしまいそうなので、やめておきます。

それはまた別の月曜日に。

 

https://youtu.be/eSYEkvZ_074