こういう言葉で表現していいのか分かりませんが、名曲。
もっと良い表現があると思うんだけど、自分の引き出しには入っていない…。
キラーフレーズばっか。
「朝焼けがいつも投げかけるエックスレイ
ぼくは一瞬だけいないはずの存在になる」
「白昼夢が続きますように」
そういや、動画サイトのメドレーでもサイレンめっちゃ聴いてたな。なんじゃこりゃ、すげぇ曲だって。
「耳栓を外したら
大きな音の秒針にステップを」
サビ前の助走ポイント。
音と言葉が軽やかに合わさっている。
歌詞通りステップを踏むように軽やかな助走をつけるが、一転。重厚感のある演奏に休憩無しで飛び込んで、それまでの曲調と表情を変える。
音の重厚感に負けないぐらい強い言葉の「白昼夢」。
「すれ違うベビーカーでまた会おうぜ」と、他の曲より大分わかりやすい死の描写。死というか、生まれ変わりか。
歌詞の解釈的な物は、他の曲に比べると、若干わかりやすいかと思います。
朝焼けがいつも投げかけるエックスレイは放射線(レントゲン)を表しているだろうし、一瞬居なくなるのは透過されているのだろうし。
朝日が世界を照らす事を、「虐殺のスタートだ」と表現するところが"らしい"。
やはり逆説的に物事を捉えるこのセンス、凄い。
8/9に上げたアコースティックライブの感想(https://tbk-pd.hatenablog.com/entry/2020/08/09/181948 )で『「ここは希望の国」「ここはとても広い霊安室」に皮肉を感じる』と書いていたが、状況はあまり変わっていない。相変わらずここは希望に満ちた霊安室。もしかしたら、どんな状況でもどんな時代でも世界というのはそういう物なのかもしれない。そう考えると、これは普遍的なフレーズと捉えられますよね。語り継がれるおとぎ話のように。
皮肉的・悲観的なフレーズばかりではない。
「プールはただ脈打ち、ひるがえる」
「終わりかな?はじまりだよ
こうして僕ら生れ変わるんだ」
素敵な表現も素敵な音楽に乗って聴こえてくる。
「ひるがえる」って素敵ですよね…。
弱い風に吹かれて、ぱしゃぱしゃと波打ってるのが想像できる。
使われる言葉はそれだけで見ると悲観的な物だけど、曲として聴いた後には清々しい気持ちになるのが不思議。
朝の光で一瞬いなくなった"ぼく"が"生れ変わった"からだろうか。
『レントゲン』を聴くことで"ぼく"の追体験をした我々も、生れ変わっているからかもしれない。
朝が来るたびに生れ変わっていると解釈すれば、とてもとても前向きな曲と言える。
ライブの話。
優しい語り口で「朝焼けがいつも」と始まれば、空気が変わる気がする。みんな、この曲を待ち望んでいたかのように。
静かに演奏される楽器に耳をすませていると、いつの間にか感情がほとばしるかのように楽器が火を噴くサビに突入している。
レントゲンが終わった後の客席の静寂と、舞台上の熱の余韻は何度味わっても良いものです。
何度でも生れ変わりたいから、ライブで聴きたくなるんでしょうか。
聴き終わった直後の体の火照りは、いま生きている事を実感させてくれます。
もしかしたら、聴いている間は死んでいるのかもしれないですね。
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絵の小噺
そんなぁ……………。