Perfect Disco

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バースデイ

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ライブだと、福井さんがベースを持ち上げる。短く爪弾く。ノイズ混じりのその音はいつも「鳥の声みたいだ」と思っていた。

だいたい最後の方にやるから、終わりの曲という印象がある。これが始まったら、終わり。

鳥の声の中、「今日はどうもありがとう」と短いMCが入る。演奏という森の中を彷徨っていた我々を出口へ案内するアナウンスだ。夢から醒ますみたいに。

 

「オーケストラ、騒げ 今日は

きみのバースデイ」

誕生日を祝う歌。オーケストラもやって来て、盛大だ。

かなぐり捨てるように歌われる「バイオリン、コントラバスチェロ、ティンパニ、ホルン」たちがオーケストラの荒々しさを伝えている。

生まれた事を祝うというよりも、「独立記念日を祝福しているからだろうか。

 

独立。

1人で生きていく事を決めた。

十分、祝福に値する出来事だけど曲に漂う不穏さが拭えない。

外では妄信者が怒り、トランペットからは血が流れ出している。

中にいる主人公は何か、悪い事をしてしまったんだろうか。

独立は悪い事だったんだろうか。

 

でも、もうしてしまった独立は覆せない。

だから盛大に祝われる。ただ、祝われる。

バイオリンもコントラバスもチェロもティンパニもホルンもトランペットも鳴らないこの曲は代わりに、ギターとベースとドラムが祝福する。

ドラムが扉を強く強くノックしたら、「1、2、3、4、5、6、7」で全ての音が洪水となって流れ出す。独立者の体に流れる熱い血潮のように。

 

あとはもう、熱い音楽が暴れ回るだけだ。

身を任せてステップを踏んでしまって。

森から出る事を拒むように、独立者である私達は小さな小屋の中で頭を振り続ける。

曲が止まってからやっと、息を止めて聴いていた事を知る。

体が熱いのは、酸欠のせいなのかステップを踏み続けたせいなのか、音楽の興奮か。

再び呼吸をすれば、生きるが始まる。

吸い込む空気の静謐さが、生まれ変わった事を教えてくれる。

 

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