歌詞は、2つの角度から読み取れる。
"きみ"は眠り続けているが、本当に眠っているのだろうか。
それとも、永遠の眠りについてしまったのだろうか。
緊張感のあるAメロの演奏。
歌詞の意味は簡単には読み解けないのだが、とにかく何か、悪い事が起こる前触れのような。胸のざわつく言葉が並ぶ。
固唾を飲み疾走した先で、途端にテンポが変わり、ゆったりとしたサビに突入する。子守唄のような優しい音楽の。
『100個の目覚まし時計 きみは眠り続ける
ぼくはひとつひとつ アラームを解除していく』
アラームを解除したら、"きみ"は目覚めるのだろうか。
それとも、"ぼく"は永遠に"きみ"が目覚めない事を悟って、静かに眠らせてやるためにアラームを解除しているのだろうか。
『各フロアの監視カメラが同時にとらえる
誰もが気付いてはいない 灯りが落ちる』
ここも角度は2つ。
監視カメラがふたりを見張っているという、怪しい展開。
もう1つは、"ぼく"が"きみ"を起こさないよう、灯りを消した事を知っているのは監視カメラだけだった、という優しい目線。
"監視カメラ"という単語は怪しさや気持ち悪さを伴うけれど、その後に続く優しい音のせいか、不思議と不気味な意味、以外も感じられるのです。
『100個の目覚まし時計 きみは眠り続ける
マネキンのように 耳鳴りの中で
ぼくは それに触れる』
"それ"と明確に示されていないので、何に触れたかは想像に委ねられている。
目覚まし時計に触れれば、"ぼく"は"きみ"を起こすためだか起こさないためだか、とにかく100個の長い長い道のりを続ける事になるだろう。
"きみ"に触れるという可能性も考えられる。けれどその場合、もはや"きみ"は物として認識されてしまっている。永遠に目覚めない事を悟り、触れるのだろう。
もう1つ考えられるんだ。
目覚まし時計のアラームを解除しても"きみ"は目覚めない。事を知った"ぼく"は、"きみ"に直接触れて、起こそうとする。
アラームには頼らないで。
その先の物語は、曲が終わってしまうから読むことは出来ない。
想像に委ねられている。
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ずっと、この曲は昏睡(目覚めるか分からない)してしまった彼女に対し、無益な努力を続ける主人公の歌だと思っていました。
だけど、改めて歌詞を見ると、「2つの角度から見れるなぁ」と思えたので、文章を書き始めたんですが、最後の行だけ、「3つ目の角度があるな…!?」となって筆が止まってしまいました。
どれが正解、とか無いだろうし、この3つ以外にも解釈出来るんだろうと思います。
だけど、歌詞の続きにある物語を感じられた時、幾度目かの「Peopleすっげぇ・・・!!!」という高揚感を味わいました。
音楽的にも、こう、分かりやすく全然テンポ違うじゃないですか。
あらゆる技を見せつけられている感じがして、曲展開、非常にアガります。
そして『昏睡クラブ』というタイトルもね。
映画だったとしても小説だったとしても、何の媒体でもフックになる、素晴らしいタイトルだと思います。
ふたりしか所属していないけれどね。
そこがまた良いと思います。
ふたりだけの、秘密の昏睡クラブ。
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絵の小噺。
100個の目覚まし時計を描こうとして、これまで2回挫折しています。20個ぐらいで「無理!」ってなってました。
でもブログを始める事によって、逃げられない状況を作れば、100個描けるんじゃないかと思ってました。
描きたかった絵の一つです。無事完成出来て良かった。
平日の夜に、ゲーム実況を見ながら20個ずつ描き進めていました。
なんというか、上手く言えないんですけどとても幸せな時間でした。これから先の人生でも、この1週間は幸せだったなぁと思い出すんだろうな。