YOMUSIC

読む音楽 ライブ感想・曲感想など。使用している画像は全て自作です。 X:@tbk_pd

全曲感想

天国のアクシデント

他2曲に比べると、カロリー低め(?)な印象。 あの、黒い害虫、の歌なんて考察をよく見るがそれはそれで納得。 差し置いてたまらんポイントもあるので、以下記述。 半音下がったメロディが、良からぬ事が起きていると想起させる。 スローテンポで進むのは面白…

あなたのなかの忘れた海

この電車を降りないで、終点の海まで行ってみちゃおうか。 通勤や通学のため電車に乗る人なら、誰でも思った事があるのではないだろうか。 <海へいこうよ>と誘われる。 「簡単に言うなよ、」って不貞腐れる。 けど「いつかね。」と、不透明な約束を心に取…

聖者たち

最初にして唯一のタイアップ曲『聖者たち』。 漫画は好きだけどアニメは合わなくて見られなかった。 (花江夏樹の演技が凄すぎて、拷問シーンが辛くてギブアップした・・・) それでも原作者・石田スイ先生がOPとEDアーティストを選び、"ぼくがかんがえたさい…

風が吹いたら

長いようで、振り返れば短かった『Wall,Window』の旅も終わる。 窓を開けて壁の外へ歩き出した者を見送るように、軽快なドラムとハンズクラップで幕を明ける『風が吹いたら』。 クラップにカントリー調のギターが乗れば、広い草原に楽器を持ち寄って演奏する…

『Wall,Window』で一番好きな曲。 それに、一番優しい曲だと思う。 静謐なピアノの音は、真夜中に差し込む月の光みたいだ。 前半はピアノと歌声だけで進行する。 こういうのは、バラードと言っていいんだっけ? <今日も誰かを蝕む悲しみを ひとは食べておと…

あの頃

日々が消えるのは怖いから。 マーチのように爽やかなサウンドで幕を明ける9曲目。 <誰もがまともなふりをしている> <誰もがくるったふりをしている> それでも世を見つめる目はぶれない。濁らない。 多少の冷淡さを以て達観している。とも言えるが、何の…

もう大丈夫

リリース時、「絶対大丈夫じゃない」と思ったのを覚えている。 実際に聴いて、「あーやっぱり大丈夫じゃなかった」と思ったのも覚えている。 2014年8月6日リリース。 10年経って今はどうか。 ワン・テンポ遅れるピアノのリズムが、不安定感を描く。 <知って…

『Wall,Window』トリッキー枠、『馬』。 [トリッキー] tricky―巧妙であるさまや奇をてらったさまを意味する表現。 対義語は「シンプル」だそう。 「People In The Boxの曲はシンプルだ」と言う人がいたら全く同意できない(そのような音楽猛者がいたら申し訳…

おいでよ

穏やかなギターの音色が染み入る。 <重い荷物かかえて帰る> それは日常の一コマでもあるし、もしかしたら精神的な比喩表現かもしれない。 自分は疲れて帰る日に、そっと再生してささやかに自分を労う。 そう、我々は重い荷物を抱えている。みんなだいたい…

<未来を失う未来も 来ることを忘れないでね> 大好きな歌詞だ。 人によっては「暗い」と言うだろう。 でも、上っ面だけでポジティブなメッセージを押し付けられるよりよっぽど信頼できる。安心できる。 温かみのあるピアノのフレーズではじまる。 じぃん、…

さまよう

らん、ら、らん、ら、らら・・・とハミングで始まる一曲。 実際には「ふらっ、ふらっ、ふらっ、ふら・・・」と彷徨う擬音であった事を知ったのは、ライブで初めて聴いてから。 気づいた時に、(おしゃれだな~~~~)と嬉しくなったのを覚えている。 少年と少…

手紙

カントリーダンスのように跳ねる音。 ギター?のキュッキュッって音がなんだか心地よいです。 『Wall,Window』は自然の描写が多くて好きだ。 <葉っぱが光をつらぬくよ> <地中深く伸びる根の音> もちろんこれはどの季節でも起こりうる事だが、音の瑞々しさが初…

<ピエロが千人 七色 とび散る 影> 『Wall,window』のリリース直後、通しで聴いて一番「歌詞ヤベェな」と思った。 リズムよく、しかし不穏さもあるベースが印象的。 歌詞も音も(悪い意味では無いのだが)"得体の知れない曲"というイメージがあった。 改めて…

翻訳機

『Wall,Window』2014年発売の12枚目の音源作品。 ・・・2014年!? 時代に流されない彼らの音楽だからこそ、10年経っても文章が書けるのだと思います。 『Wether Report』から11ヶ月経っちゃったけど、全曲感想をやり遂げたい気持ちは途切れていません。 低…

開拓地

オリエンタルな曲調を保ちながら、カントリーギターを想起する。 どこか懐かしい音は、21曲70分を聴き終えた聴者に「お疲れ様」と言ってくれているようだ。 <向かう場所はいつでも荒れ地だった> 『Wether Report』の旅の終着点はここだ。 "あしたはどこへ…

鉱山

何だこの楽器は・・・ 聴き覚えがあるような、でも楽器名は分からなくて。 東南アジア風の、とかアフリカ民族楽器のような、とかきちんと定義出来ればよかった。 それほど耳聡くは無く、知識すらも無く、ただ感覚のみで「不思議だなあ」とか「癒されるなあ」…

大砂漠

だいさばく?おおさばく? おおさばくの方がなんか好き。 タイトル通り『砂漠』のフレーズが再登場する。 アップテンポに変わって、打ち上げのような、お祭りのような、不思議な騒がしさが楽しい。 バーーーーーイラーーーースーーーーーー バーーーーーーーーーイヤーーーーーーース バーーーーーイラーーー…

脱皮後

『投擲』から再登場のメロディ。 疾走感があってロックだった『投擲』とは異なり、ミドルテンポにダウナー感が滲む。 こちらもとてもよい。 『脱皮中』からのノイズをバチンと切って、全く違う音楽が始まったのかと思った。いや、メロディは一緒なのだが。一…

脱皮中

">ノイズ交じり ぶつぶつ 途切れるららら。予兆の表現として『脱皮中』という言葉は、生々しさが伴う。感覚的に何かが変わるのではなく、身体的な変化、フィジカルな転向。だから予測がつかない。何が起こるか分からない。『脱皮後』に見る世界では。 "> "> …

夜の海は波の形が見えない。 "海"という巨大な塊がうごめく。 だから夜の海は少し怖い。 得体の知れない水塊を描くように、音が、波打つ。 <夜は黒い 夜は深い 放送はこれでおしまい> この歌詞を聴くと、アルバムの終わりが近いんだなと寂しくなる。 『Wet…

大陸

北海道ではッッッ! アイヤ~~~~~エ~~~イヤヤ~~~~~ アイヤ~~~~~エ~~~イアヤ~~~~~ 初めて聴いた時は普通に爆笑しました。 「何じゃこりゃ!?」ってなるわ。 すごくカッコイイ曲や芸術的な曲を作れるのに、ふざける人々。とてもよいですね。 バックで気象予報のよ…

新聞

<円の中心に立って雨を待ち望とき 人は守られている 空想の卵のなか> 規則的なギターの和音と、規則的なドラムのハイハット。 正確な音の粒に耳を慣らす。 新聞に印字された文章の正確な羅列を想起する。 繰り返すリズムパターンと、歌と語りの中間のよう…

潜水

助走をつけるようなギターのイントロ、 待って待って。 やがて一気に、海へとダイブ。 青い世界で、見えるのは気泡と音と。 そういや、音は見えない波なんだっけ。 Tr.13『潜水』。 よくもまあ、こんな海ん中をイメージできる音を作れるもんだと思う。 水圧…

夏至

<止まる世界でページめくった> 水滴が垂れる。 あとは、アコースティックギターの弦の柔らかさ。 "りーん"と響く音の正体は分からずとも、湿気をまといつつ爽やかな風が吹き抜ける、『夏至』の中に我々は立つ。 気合いの入った曲が続いたから、束の間の休…

真夜中

最高。 夜闇から立ち昇るようなギターの音色。 空気は一瞬で真夜中に変わる。 『真夜中』のギターは福井氏の作曲・・・と確実に何かのインタビューで読んだはずなのだが、見つけられず。すみません。 (紙媒体だったかもしれない・・・当時のROCKIN'ON JAPAN…

塔(エンパイアステートメント)

アメリカ合衆国、ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区5番街350号。 1931年-1972年まで世界一の高さを誇る建造物だった。 (ワールドトレードセンターの竣工により、記録が抜かれた。9.11同時多発テロ事件により崩壊したが、跡地に再建築されたワール…

空地

爽やかなギターが気持ちいい。 晴れた空が似合う。 『空地』はギターと歌声だけで構成されている。 弾き語りのような位置づけかもしれない。 いつまでも聴いていたいなめらかな音色。 テープ録音(宅録と言う?)のように音は遠くにあり、その1枚重なった優し…

映画のシーンが変わるように、駆け抜けた『投擲』から静かにフェードインしていく『穴』。 ギターの弦がきゅるると摩擦する音がアナログを感じて、良い。 『砂漠』『岩』に通ずる、民族風のサウンドが復活する。 <砂丘から望遠鏡で>という歌詞に案内されて…

投擲

とうてき 【投擲】 《名・ス他》 投げること。なげうつこと。 ふっと視界が拓ける。 鉛色の『起爆』が爆発し切って、土煙。 それを風が押しのけて、<目の前>に<何もない草原>が広がる。 爽やかなカッティングが不意打ちで、ミドルテンポの曲なのかな、と…

起爆

<きみは戦争に興味がないしね> <戦争はきみに興味がない> <しね> 繰り返されるたった3行の言葉と、破壊的に打ち鳴らされる轟音。 『皿(ハッピーファミリー)』では抑えていただけだ、ハードコアみたいな音の出し方も彼らの一面。 温度差で風邪引くわ~…