<止まる世界でページめくった>
水滴が垂れる。
あとは、アコースティックギターの弦の柔らかさ。
"りーん"と響く音の正体は分からずとも、湿気をまといつつ爽やかな風が吹き抜ける、『夏至』の中に我々は立つ。
気合いの入った曲が続いたから、束の間の休憩のような。
緩やかなテンポが、心地よい。
春と夏の中間にある、どっちつかずの季節に優しい眼差しが向けられる。
<夏がおわれば夏がはじまる>
哲学のような、禅問答のような、人を食ったような。
矛盾を繋げて詩と成った。
繋がれた矛盾が、言葉の意味を越えて素敵なものに思えたら、それは芸術と呼ばれる。
環境音の入る曲が好きだ。
水滴の音、弦を押さえるキュッという音。
空間とか、人の存在を感じるからだろうか。
上手く言えないのだが、好きになる曲には結構、環境音が入ってる事が多い。
<途方に暮れ微睡む>
<罰を忘れられて>
罰を忘れられて、ほっとしている?
罰を忘れられて、糾弾している?
語るような口調では、その意図は見出せない。
だから底知れなさがある。
<止まる世界でページめくった>
<いまも目次に たどり着けない>
ページをめくっているのに目次にたどり着けないという矛盾。
でも何となく分かる共感。
日常生活で出遭う言葉にできないもどかしさを形容したい時、この歌詞はよく当てはまってくれる。
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『夏至』について書くのはこれが初めてではない気がする。
ライブレポ等で何度か書いて、感想も書き尽くしたと思っていたが、いやはやまだまだ書けて良かった。
何度も書くという事は、それ程好きな曲なのだと思う。
6月20日に改めて聴こう。