YOMUSIC

読む音楽 ライブ感想・曲感想など。使用している画像は全て自作です。 X:@tbk_pd

10年越しにamazarashiにハマった

 

2023年2月。

漫画『チ。』が気になって半年経っていた。

読む時間も無いしなぁとうだうだしていたら、Youtubeに『カシオピア係留所』のMVが現れた。

MVならすぐ見れる。

「amazarashiか、『さよならごっこ』以来聞いてなかったなー」と思いつつ再生したのが、はじまりだった。

 

その後『チ。』も全巻揃えました。

これはたいへん良い漫画です。

あまりに良い漫画です。

天文とか歴史とかよりも、“ものづくり”に関わる人へ向けた漫画だと感じました。

『チ。』は別の場所で語るとして、温めていたamazarashiについて書きたい事を書いてみます。

 

正確には9年前だと思う。

就活中に「こんなネガティブなアーティスト聴けん…」となってしまった。

『夏を待っていました』と『性善説』だけはその後も定期的に聴いていて、『さよならごっこ』で一瞬浮上したものの、新曲をチェックするアーティストではなくなっていた。

『カシオピア係留所』で驚いたのは、歌声の変化だった。

「こんなに優しい歌い方だったっけ?」

優しい。

9年前と全然違う。

曲風も、聴いた事のない感じだった。

「こんな曲も作れるんだ」と驚きつつ、「自分が好きだったamazarashiは爽やかな音楽とそれに反比例するネガティブな歌詞だった。メッセージ性の強いものだったはず。本当に同じアーティストなのか?」と疑問も感じた。

それを確かめるために新しめの曲からYoutubeを再生していった。

この時点で沼に片足突っ込んでいた。

“もっと知りたい”と思う時点で、半分、ハマったようなもんなのだ。

 

『チ。』を読み終わるまで、随分長いこと『カシオピア係留所』を聴いた。

次に聴く曲も、タイアップ系を選んでいく。『さよならごっこ』『命にふさわしい』は知っていたが当時そこまでハマらなかったので改めて聴いた。

撃沈ですね。

いやぁ………そうですか……

あの章の2人に重ねてしまった。

しばらく『さよならごっこ』『命にふさわしい』『カシオピア係留所』だけを聴く期間が続いた。

(あの頃は決算時期で、助けられたなァ)

仕事も落ち着き、『1.0』を聴く心の準備が整った。

活版印刷の意味がわかった。

……活版印刷ッ……!!

ここまでやってアニメの主題歌がamazarashiじゃなかったら発狂する。行動を開始する。

と、ここまではまだ『チ。』のイメージソングとしてハマっていた。

(のちに『1.0』単体でもクソデカ感情を持っていかれる。)

他の曲も聴いて良かったら、きっとamazarashi自体にハマるだろう。

自分を試す気持ちで、次に気になる曲を聴いてみた。

 

ロストボーイズ』

サムネがアニメっぽい。

そういえば昔の曲もアニメとCGの中間みたいなMVだったな。

顔出ししないというのは何となく知っていたから、amazarashiの作風なのだと思い昔の曲とどれぐらい変わってるのか確かめたくなった。

結果、これがトドメとなった。

いや、むちゃくちゃ良いじゃん。

”爽やかな鬱”という褒め言葉がロック業界にはある。(個人調べ)

概してそういうジャンルの曲が好きである。

ロストボーイズ』はそこにドンピシャ嵌り、他にも好きな要素が詰まっていた。

絵が良かった。

結局、オタクなのでイラスト表現が大好きなのだ。

キリッとした青と、主人公(秋田さん?)のオレンジの眼鏡の対比が格好いい。

青とオレンジでアートワークを設定するセンスがすげ〜良かった(あんまり無い色の組み合わせだと思う)。

韻が気持ち良かった。

「神社で吐く煙、夏の雨 待ちぼうけ君のバス、ガスト前」

こちらは声に出して読みたい日本語として永遠に遺して頂きたい。

のちに、秋田さん自身HIP-HOPに造詣が深かった事を知るが、トラックに乗せて歌うラップと違い、ロックミュージックに乗せて歌われる韻の選び方、センス。

歌詞がたまらなかった。

自分の知っているamazarashi成分、“ネガティブなのにどこか前向き”。

それはヤケクソと表現する事もできるが、別の言い方をすれば「鬱屈も増幅すればアートたりうる(アオモリオルタナティブ)」。

「始まりにはいつも 溜息が出ちゃうな 始業式や朝礼や 今日一日の目覚めとか」

わかるわぁ

「ここじゃない気がしてる でも理由はわからない 憂鬱ってのは知ってる でも漢字じゃ書けない」

わかるわぁ

Youtubeに「でも頑張ればかけるようになるかも」というコメントがついていた。

「センスある」

「凄く秋田ひろむさんの感性に近い考え方で僕は好きですよ」

という返信も含めて、なんだか好きなやり取りだった。

そう、書こうと思えば書けるようになるし、解消しようとすれば多分される。

そんなふわっとしたゆううつは、誰でもいつでも持ち得る。

「人と違うような気がして よく鏡を見てた 宇宙人や化け物じゃなくてよかった」

「でも言葉や思考を映す 鏡なんて無いから 安心できない 安心できない」

わかるわぁ

ていうか、わかるわぁと思える鬱屈方面に共感する言葉を繰り出す秋田ひろむがすげぇわぁ

「少年は闇の中 マルボロと車泥棒 不登校オーバードーズ 入り組んだ夜がある」

ここの韻の踏み方も気持ち良すぎておかしくなるかと思った。(?)

声に出して読みたい日本語、その2。

「少年は闇の中 十年経っても闇の中 襲われる『あの頃よかったよな』 振り解く『まだまし今の方が』」

ここで出てきた10年というキーワードで初めて、大好きな『性善説』が2013年の曲だと知る。

丁度10年。

誰にでもある過去の栄光に対し、少し大人になったamazarashiは今を肯定する。強い歌詞。好きだ。

「大人は少年を隠すけど 真夜中が暴くから」

ラストに一番やられた。

それまで、影や涙を隠してくれる夜と、隠したいものを暴く太陽という、ポジティブイメージの単語を仇のごとく語ってきた。

夜はどこまでも味方だ。

大人になって押し殺そうとした“少年”は、真夜中にあらわれる。

真夜中ならば。誰でも少年に戻る。

たまりませんな。この語彙。センス。

一発目から長々としてしまったが、彼らが積み重ねた10年の結果の『ロストボーイズ』によって、再び好きになれた。

活動を続けてくれていて、ありがとう。

 

『空白の車窓から』

じゃあ聴くか、と仲間っぽい『空白の車窓から』MVを再生する。

これも良かったなァ………

でも『ロストボーイズ』の方が好みだった。

『空白の車窓から』は前向き成分かなり強め。

でもMVめちゃくちゃ良いよね。

好みの差はあれど、大阪のライブに日帰り遠征した時は、新幹線で味わうように聴きましたね。別のアーティストのライブなのに。

「自由とはなんて寂しいんだろう」

文字に起こせばありふれた一文、しかし歌声は力強く、むしろ自由に伴う寂しさを受け入れている。好きな歌詞だ。

アルバムタイトルにもなっているし、『ロストボーイズ』がラスト曲だと思い込んでいた。

もう少し後にCDを買って、この曲順である事に秋田さんの決意表明を感じた。

 

CDを聴いたら絶対に長ったらしい曲感想を書くだろう。

そう危惧したので、でも我慢出来なかったので、先に『未来になれなかった全ての夜に』(BD)を買った。

バンドとして好きになったのは、ここからだ。

『月曜日』「息苦しい のは ここが」のところ、コーラスがめちゃくちゃ格好よくて、調べると豊川さんという女性メンバーだった。

「amazarashiって秋田ひろむ一人じゃなかった!?!?」

10年越しに知る情報。

いや〜豊川さんの声にもハマっちゃいましたね〜。

秋田さんの力強い歌声に負けない強さがありつつ支える感じが凄く好きでした。

ロストボーイズ』冒頭の美しい鍵盤の音も、豊川さんの演奏だったんですね。むちゃくちゃ好き。

 

『たられば』

『さよならごっこ

*『月曜日』

*『それを言葉という』

*『光、再考』

アイザック

『命にふさわしい』

『空洞空洞』

*『千年幸福論』

BDで聴いた中で好きなものでYoutubeにあれば、暇さえあれば聴いていた。中毒です。

特に*曲は凄いですね。

インプット量が多過ぎて、ブログという形である程度発散出来たものの、これからこれらの曲から受けた衝撃をアウトプットしていく作業が始まると思います。

『千年幸福論』はライブならではなのでしょう、パワーがハンパなくて、好きだが聴くのにも体力を要する。

主に月末処理で精神力が底をつくと聴いてます。体力が駆動します。

 

以降、『七号線ロストボーイズ』『ロストボーイズツアー(BD)』『末法独唱 雨天決行(DVD)』を集めてゆき、『スワイプ』の影響で『Village(映画)』も観ました。ただVillage本編にamazarashiは関係無かったです。主題歌じゃないんかい。(Youtubeにはハッキリタイアップってありましたね)

 

『七号線ロストボーイズ』の感想も多すぎて、別記事で書きたいと思います。全曲ハマってます。ちょっと今は優先度低いのですが。新アルバム『永遠市』も出ちゃうんですが。早すぎる。まだ『七号線ロストボーイズ』いけます。全然味するんですけど。

 

読む側からすると、好きなアーティストの感想なんてなんぼあってもええですからね。

取り急ぎ、2月から書きたかったamazarashiにハマったきっかけは、備忘録として書けて良かった。人間は忘れる生き物だからね。

人間なので、また、忘れる前に書きに来ます。

 

君たちを理解するのに10年かかったけど、自分の人生10年の結果もまた、君たちが必要になるような歩み方をしているようで良かったよ。

そして2回目だけど、活動を続けてくれてありがとう。

生きてりゃいい事あるもんなんだな。

 

 

youtu.be

youtu.be

 

中間管理職が読む『宝石の国』

宝石の国』の感想です。
102話までのネタバレを含みます。
単行本12巻が98話までなので、未読の方はご注意ください。
興奮のあまりネタバレに配慮してません。
 
 
聞かれて困る質問第1位、「好きな漫画は?」。
好きって、人に薦めたいって意味?
影響を受けたって意味?
死ぬ間際にも読んでいたいって意味?
この質問に答えるのは難しいが、シンプルにパッと頭に浮かぶ漫画は3つある。
 
 
順位をつけたいわけではないが、もしかしたらこのどれかを追い抜いて、『宝石の国がパッと頭に浮かぶかもな。
そう思わされた漫画だった。
要はめちゃくちゃ面白かった。
 
人から薦められる事は多かった。
タイミングが無くて手を出していなかったが、漫画アプリの無料期間に読み始めた。
止まらん止まらん。
1日1話読めるのだが面白すぎて毎日楽しみだった。
明日が来るのが毎日楽しみだった。
 
アプリのプレゼントも利用しながら、2ヶ月程かけて読んだ。
いや、凄いわこの漫画。
一気読み(?)したおかげか、キャラクターへの愛着よりもストーリーへののめり込みが勝った。
最初から応援しているファンの友人には悪いが、カンゴームの変貌には好感を持ってるし、フォスフォフィライトの行動にも違和感は感じなかった。一気に読んだおかげで、そういうストーリーだと受け入れられた。
 
1、絵がいい。
「上半身は少年、下半身は少女を意識している」という作者の意図通り、唯一無二のデザインになっていると思う。
宝石の国』のファンアートを描くにあたり作者・市川春子さんの絵のまま模写や練習をしたのだが、この画風は今まで出会った事の無い感触だった。楽しかった。
元々、宝石とは美しいものである。
宝石の擬人化という前提があるので、美形キャラばかりという点にロジックがあり、読みやすかった。
(好きな漫画を見て頂ければ分かると思いますが、筆者はイケメンばっかり出てくる漫画は苦手です。夢がなくてすいません。)
 
2、世界観がいい。
舞台が現実的だと、共感はしやすいが違和感を感じると没入感が薄まるというデメリットがある。
“遥か未来の地球“というSFではメジャーな舞台だが、それが明かされるのは、読者にキャラクターの魅力がしっかり伝わり、フォスフォフィライトの事を応援したい気持ちが育ってからだ。
世界観説明の引き算が上手い。
穏やかな自然の中、少年とも少女ともつかない魅力的なキャラクター達が、”先生”と呼ばれる唯一ハッキリとした男性のもと、正体不明の仏のような敵と闘う。
“先生”は僧侶の姿で、強い。
宝石たちも武器を手に戦うが、負けると体を敵に持って行かれてしまう。
敵の目的は何か?
“先生”は強いのになぜ毎回宝石を守らないのか?
説明が無いので「そういうものなんだ」と、読者は宝石たちと同じ目線で世界観を享受する。
説明が無いのに納得できるのは、単純に絵が上手いからだと思う。
キャラクターだけでなく、硬物・軟物・個体・液体・闇・光、描く全てがシンプルという統一性でデザインされている。
絵が上手いから、後半につれて、『宝石の国という物語の主軸がエグい本性を表して来てもサラリと読み飲み込めてしまったのだ。
 
3、キャラクターがいい。
無性の宝石人間たち、人間よりも遥かに長い寿命を生きる。
物語の時間の流れは壮大で、100年とか200年とか普通に越す。
後には1万年すらも。
有機的な営みが必要ないから、遊んだり研究をしたりと悠々自適に日中を過ごし、たまに闘い、夜はみんなで眠りにつく。
理想の学校、永遠の学生。
プラトニックな人間関係ゆえに、清純な女子校を思わせる。
宝石達の生活はロマンティックで、(戦闘以外は)楽園の日々と言える。
我々有機的な人間は、そんな宝石達の生活を覗かせて貰っている。
それぞれの宝石の思考や、人間(?)関係を理解する(読ませて貰う)事で、理想の女子校を覗いている背徳感もある。
しかし彼らは宝石。
性の概念が無いというのがまた唯一無二の世界を作っていて、色っぽさや愛情なんかを感じるのはしょせん、観測側の我々人間にしか無い感性なのだ。
 
…そんな綺麗な世界観にハマった友人には悪いが、読了した今、この舞台設定すら主軸物語の伏線だったと思う。
 
4、フォスフォフィライトの成長
フォスフォフィライトは無邪気で無力だった。
フォスが力を望まず、“ありのままの弱い自分でい続ける”事を受け入れていたら、『宝石の国は楽園ほのぼの日常まんがになっていただろう。
しかしフォスは強さを望み、それは(彼の)楽園を失う事と同義だった。
他の宝石は、変化を望んでいなかった。
変化するという思考すら無かった。
他の宝石は、疑問を持たなかった。
フォスだけが、世界を理解しようと知識を望んだ。
振り返ってみれば、この行動こそがフォスを人間たらしめるものだった。
だからフォスフォフィライトでないとダメだった。
動物に無くて人間にだけある欲求、それは“知識欲”だから。
 
5、推しはフォス
最初は「主人公こんなに見た目変わったら分からんだろ…」と否定的だったのが、逆に「宝石の国でしか出来ん事や…!」とハマった。
どのフォスも好きだ。
最初の可愛いフォスも好きだし、キリッとしたアゲートフォスも格好いいが、ラピス・ラズリの頭脳を手に入れて無敵モードになった後、真実を知り月で打ちのめされたフォスがたまりませんでしたね。
ドン底に落とされてから這い上がっていくキャラクターが好きなもので。
フォスは結局、這い上がれずいわゆる“闇堕ち”してしまったが、そこにはエクメアの策略が絡んでおり、筆者的にはフォスが悪いと全く思えない。
エクメアにいいように使われ、彼の目的のために利用された被害者だ。
 
宝石の国』を読んでいた頃、会社のゴタゴタに巻き込まれていた。
だから月世界編のフォスに自分を重ねて感情移入していた。
宝石の国』を読んで、フォスに対する感情は人様々だと思う。
自分にとっては、つらい時期にを一緒に歩んでくれる救いだった。
落ち込んでいると、キャラクターが幸せになる物語では救いが得られない時もある。
だから自分は『宝石の国とフォスフォフィライトが好きになった。
 
前置きが長くなりました。
筆者がフォスフォフィライトというキャラクターに抱いた感情は、『共感』でした。
無を望む事は逃げる事。
無を与える事は生きる事。
 

-中間管理職が読む『宝石の国』-

 
目の前の事を一生懸命やっていたら、いつの間にか取り返しのつかない所まで来ていた。
気づけば自分ばかりやる事が増えていて、あれっあいつら何で仕事一個しか担当してないの?
“知りたい”や“行ける所まで行きたい”なんて感情は、独りよがりな物だと初めて知った。
利用されるだけ。
意欲の無い人間にやらせるより、意欲のある人間にやらせる方が楽だからね。
あーあ。
 
でも、後悔はしていない。
性に合わねーんだ、自分の感情に従わない事は。
知りたかったから学んだ。
行きたかったから上を目指した。
他人(上)に利用されていた事はショックだが、それでも自分の行動は変わらなかったと思う。
 
フォスだってそうだろう?
違う自分を目指して踏み出した行動は、他者(宝石)からしたら「なんでそんな事やってんの?笑」だ。
だって、あんたらがさぁ。
あんたらがやらなかったからやったんじゃないか。
その行動は“必要とされていなかった”。
この空回りは残酷で、フォス目線でストーリーを追っていた人はしんどかったと思う。
「フォスがいない時の方が平和」
「フォスがいるからトラブルになる」
「フォス(の行動)はイタい」
このような感想を見かけた時は辛かった。
こういう感想を持つ人々と、フォス不在中に平和を謳歌する宝石達を同族に感じた。
もちろん、キラキラした理想郷での日常を楽しんでいた読者にとってはフォス目線のストーリーがしんどいどころか、望まぬ物を見せられているという気持ちだろう。
でも、これはフォスフォフィライトの物語だ。
自分の気持ちに正直ゆえ日常を壊して変化させる物語だった。
 
新しい仕事をどんどん覚えるのは苦ではなかった。
自身の性質と会社の欲求が合致していると喜ばしかったから。
それは見せかけで、自主的に動いている、と上手く思わされていただけだ。
エクメアも、フォスの“人間としての素質”に気づき、上手く動かした。
エクメアは会社にいたら出世早いだろうな。嫌いだよ。
 
現実離れしたキャラクター達は、魅力の一つだ。
純粋で無垢。
性善説の擬人化とも言える。
フォスだけが、無垢を捨てていった。
嫉妬と暴虐の種が芽吹いて、月で苦悩する様は地上の宝石達とは真逆の姿だ。
性質の反比例、それは人間性の獲得と同義だった。
自身について苦悩するフォスの姿は、どうしたって“人間らしい”と感じた。
現実離れした宝石達より、淀んだ感情の中で泥を掻き分けるようにもがくフォスの方が、人間らしくて好きだった。
我々有機的な人間と同位にある矮小さが、愛おしかった。
だから月世界の途中くらいかな、「フォスは人間に近づいている」と感じた。
三族のうち、=骨(宝石)と肉(アゲート)は手に入れているから、あとは魂(月人)が宿れば“にんげん”が完成するな…と展開を想像していた。
実際、エクメアの策略が“フォスを人間にする”という点は想像通りだったが、目的が“金剛が人間と認める存在を造り、祈らせ魂(月人)を無に帰すこと”だったとは…。
いや、それは分からんよ。
逆にそこまで読めてたら面白くけども。
 
それも失敗したエクメアは、次の手に“フォスの金剛化”を図る。
そしてそれが成功する。
1万年というフォスにとっては牢獄の、月人達(宝石含む)にとってはあっという間の享楽を経て。
フォスの姿は完全に人の姿を得ていた。
凄いなと思うのは、成人男性の姿だった事。
少年期が終わり、成長しきって完成した“にんげん”の姿(あとに待つは老化のみ)。
 
「あれは誰だろう?かわいいね」
 
というセリフにショックを受けた読者は多い、ていうか全員、と信じたい。
 
自分に重ねて涙が出た人もそこそこ居た、と信じたい。
気づけば新人の頃の気持ちは無くなっているんだ。
22歳の純粋さに、もう二度と取り戻せない自分を重ねて、重ならないと気づいて、自分の当時を思い出そうとして、思い出せない事に気づいて、記憶のなかの自分は全くの別人になっている。
記憶のなかの自分に「あれは誰だろう?かわいいね」と呼びかける。
そして走り去ってしまうんだ。
 
フォスの切なさを知らない人たち。
変化してこなかった人たち。
でも、悪者はいない。
みんな、好きに生きてきただけなのだから。
悪者はいない。
それでいっそう、つらさが際立つ。
 
フォスフォフィライトの苦しみは、辛さは、誰にも分かって貰えない。
ただ、エクメアと金剛先生は、せめて同じ視点を持っていたしフォスを理解する事も出来ただろう
ただ、ふたりは歳を取りすぎた。
疲れてしまったんだ。
やる気のある若手を利用する事しか策が思いつかなくなっていた。
「フォス…今度一緒に飲もうな…」と心で語りかけるばかり。
 
フォスだけが人間化の対象になったかというと、そうではないと考察している。
エクメアが“にんげん”の“魂”であるから、宝石(“骨“は無機的)と違って恋愛感情を抱くのは自然な事と思う。
その対象がカンゴームだったのは意外で面白かった(「閻魔大王が宝飾品として好んだ」みたいな逸話があるのかもしれないが、ネット検索ではヒットしなかった)。
カンゴームもまた、”骨”でありながら恋愛感情を知り、エクメアを受け入れた。
それまでのプラトニックな『宝石の国』の世界観との、明確な区切りだった。
 
実際、「カンゴーム 宝石」で検索すると、『宝石の国』関連ばかりだし「気持ち悪い」という感想がほとんどだった。
当然というか、それまでの現実離れした無垢な世界観を、現実的で不浄さすら漂う世界観に180°変わってしまったのだから。
これは作者が悪いと思う(笑)
ただ、102話を読み終えて振り返った時、フォスと対の存在として“エクメアに愛され恋愛感情を知ったカンゴーム”は重要で必要だった。
月世界編において、第2の主人公的描かれ方をしたしね(なんでイチャイチャドライブ編とか見せられてんだろう?とは思った)。
 
1つ、前述のように世界観の変化を描くため。
3族の統一に向けてストーリーが動いていく以上、バラバラになっていた“にんげん“の要素をひとつにしなければならない。
宝石達が担っていた”無垢さ”と、月人が担う“俗っぽさ”を繋ぐ事は、フォスには難しかった。
フォスはすでに骨(宝石)と肉(アドミラビリス)を繋いでいたから。
何より、主人公だから。
“俗っぽさ”はつまり、“有性”を表す。
宝石の国』で揺るがしてはいけない点に、宝石達が無性であるという設定がある。
これを揺るがさないと3族の統一には向かえない。
そこでカンゴームが登場だ。
フォスにこれをやらせたら、訳がわからなくなってしまう。
実際、カンゴーム自身は幸せだが読者からはメチャクチャ嫌われた。
もしフォスがカンゴームの役割を担ったら、『宝石の国は打ち切りだったかもしれない。
 
2つ、エクメアの選択肢として
フォスフォフィライト自身の変化は内省的である。
あけすけに言えば、“自分探し”と断ぜ、そこに他者の影響はあまり無い。
カンゴームは“恋愛”によって変化したが、それは他者がいないと成り立たない。
愛によって変わったのがカンゴームであり、フォスの孤独と対になる。
骨のフォスは肉(アゲート)を得た。
骨のカンゴームは魂(愛)を得た。
筆者は、そのためにカンゴームも“にんげん”になる可能性があったと考える。
エクメアがフォスを“にんげん”に選んだのは、ただ“好きじゃなかった”からに過ぎない。
宝石の国』の性別は一言で説明できず複雑だが、フォスとカンゴームは同じ立場にあると考えて読んでいたから、ふたりを分かつものが“エクメアの愛情”だったのがたまりませんね。
知性が向上すると結婚率が下がるという、我々人間社会への痛烈な皮肉のようにも感じました。
 
与えられた仕事を一生懸命やっていたら周りはどんどん結婚していって、取り残された会社員みたいなフォスフォフィライト。
あれは誰だろう?かわいそうだね。
あれはどこにでもいるひとりの人間だね。かわいそうだ。
ただフォスが人間と違うのは、取り残された事に気づいた時にはすでに同じ立場の者がいなくなっていた事だ。
フォスは“にんげん”になりかけていたし、宝石もアドミラビリスも全員、月人になってしまった。
筆者は、「あれは誰だろう?かわいいね」というセリフより、「私(わたくし)は初めからずっとひとりだったのです」「この一万年と少しの間には 何も無かったのです」というセリフの方がずっと辛い。
意地っ張り、ここに極まれり。
後悔したり、諦めてもよかったのに。
「ずっとひとりだった」と思う方が楽だし傷つかないけれど、そう思わなければ、壊れてしまったのだろう。心は。
心を守るためにフォスは、あなたは、”にんげん”を超越したんだね。
 
誰もいなくなった地上で、フォスが次に出会ったのは“芸術”だった。
物語としては、これまでの謎に決着がつき、張りつめたテンションが緩んだ99話。
「これから先何を語るんだろう?」と予想がつかなかったが、新生命体の“石”の登場と、孤独を癒すツール/石とのコミュニケーションツールとして“音楽”が使われる事に感動した。
先の展開は予想できないし、フォスのこの先を、ただ見届けたい。
生きる事に真面目すぎたフォスフォフィライトは、無に帰される事を選ばず生きる事を選んだ。
だから好きだ。
傷ついても汚れても生きようとするひと。
死に逃げるひとたちよりよっぽど美しい。
フォスフォフィライトは一番美しい。
 
石の時代になって、初めて芸術が登場した事に気づく。
(レッドベリルやクイエタの洋服製作は別として。“自己表現”としての芸術という意味で。)
苦悩の果てに独りになったフォスが、争い果てて「何も無かった」と言い切ったフォスが、『石』の歌に感動する。
なんというか、傷ついたひとを救えるのは文化とか芸術なんだなぁと思って、しんみりした。
こんな姿になってやっとフォスと繋がった気がした。
そこには茫漠とした感動の時間が流れていた。
 
遠い遠い世界を想像する時、我々は日常を忘れる。
目を開けば窮屈な社会と会社に四方を固められているけれど、それは、たぶん、我々が“人間”であるどうしようもない証明だ。
人間は、その四方の壁の中から、自由な草原で歌うフォスを想える。
はるか過去に居る中間管理職は、フォスフォフィライトの幸福を心から祈っている。
 
漫画という娯楽に支えられて日々は続く。

大団円3回行って比べてみた

 

 

【うろおぼえセットリスト】

※3回目にしてちゃんとカメラオブスキュラ聴き込みました。曲順は自信無いですが曲名は大丈夫です。

 

螺旋をほどく話

スマート製品

戦争がはじまる

聖者たち

完璧な庭

 

自家製ベーコン

町A

 

ドッペルゲンガー

旧市街

あなたのなかの忘れた海

石化する経済

机上の空軍

カセットテープ

 

中央競人場

水晶体

ミネルヴァ

スルツェイ

ヨーロッパ

 

 

  • スマート製品

音源聴き込んでからライブ見て良かったNo.1

轟音で始まるぶん間奏のギターが耳に残る。

間奏の演奏手元を見るために大阪追加したと言っても過言ではない。

「捧げて」が好きすぎる。

あとグイングインのベースも見られて良かった。カッコよかったー。

 

  • 戦争がはじまる

音源聴き込み率No.1

若干喉の調子悪いのかな?と感じたものの、ちょっとザラついた感じがめちゃくちゃ良くて、喉しんどいとは思うけどこのまま行って貰っても良かった。この後普通でした。

「ベイビー 錆びたリュックをくくりつけ」から始まる一連のサビの、演奏風景を見たすぎて大阪追加したと言っても過言ではない。

いや〜〜ギター上手いですね!!(混乱)

ベースも上手ですね!!(錯乱)

サビに向かって盛り上がっていく、ドラムの緩急のつけ方が大好き。(正気)

またライブで聴きたい。見たい。

 

  • 完璧な庭

小さく歓声が上がった!わかる!

来た甲斐あった。

いつなんぼ聴いてもええですからね。

サラッと弾いてるけどやっぱエグいよなぁ。

 

  • 自家製ベーコン

スルメ曲。

聴けば聴くほど好きな箇所が出てくる。

乾いたドラムの音が気持ちよかった。

<心に闇などない>って出だし、良いっすよね~~

 

  • 町A

5年前の大阪でも聴いたなぁと懐かしくなった。

あの時と住む所も変わったし、同じ感情は抱かなかった。

ただただ揺れる会場の人影と、ともに体を揺らす事が楽しかった。

3人のコーラスは迫力があってやっぱり好き。

喉も楽器の一つと数えているので、単純に楽器が6つに増えるわけですからね。

てか全員歌いながら演奏できるPeopleが凄いよな。

 

こっちもスルメ曲。

音がただただカッコよくて集中しちゃったので、歌詞に浸りたかったら音源の方が良いかも。

カッコいいー。今後もライブでやってくれー。

 

  • 旧市街

Camera Obscuraがループ構造になっているという解釈を読んだ事もあり、王冠を瓜二つの人物に渡してループする『旧市街』のPVを思い出して、勝手に鳥肌を立てていた。

osouonna.hatenablog.jp

 

  • あなたのなかの忘れた海

演奏終了する時、ギターの弦の音だけが余韻を残して消えていった。

とても良かった。

 

  • 石化する経済

演奏風景を見ていると、カメラオブスキュラの中で一番シンプルな曲だと思う。

東京公演で“楽器より歌がメインぽいから大変そう”と感じたが、それを思い出した。

こちらとしては存分に歌を聴かせて貰って非常に嬉しいです。乗りに乗ってました。歌うまいなー。(語彙力0)

 

  • 机上の空軍

他公演よりスローテンポだった。

ゆっくりのんびり進んでいくのも、良いですなぁ。

 

  • カセットテープ

最後のコーラス永遠にやって欲しい。

 

  • 水晶体

主旋律(?)となるメロディを弾くのがベースでびっくりした。

曲が始まる前、あの「るーるるーるる」にあたるメロディがベースで弾かれていた。

あの低音のるーるるーるる、めちゃくちゃワクワクした。

そっからの、バチンと照明が点いて演奏が始まるわけですよ。

アッガる〜〜〜〜!

好きな曲だから最高なのは勿論だが、ダイゴマンがコーラス時は手元見ずに叩いてるのが凄すぎてずっと見ちゃいました。

マイクが観客側にセットされてるじゃないですか。

観客側をずっと見ながら叩いてるんすよ…何が起きているんだ…

今回久しぶりにドラム側で見られたのですが、改めてヤバさを突きつけられましたね。

 

  • スルツェイ

私事だが昼間に映画『怪物』を見た。

「君はかわいい怪物のようだった」でバチンと映画の場面を思い出して、そこからどんどん映画とリンクしていった。

観てない方は是非。

(歌詞だけじゃなく音楽の雰囲気自体が『怪物』に合ってると思う。)

人の動きが若干あって、ドラムが見えづらくなった代わりに波多野さんがよく見えるようになった。(中央の福井氏は永遠に見られました)

ベースがドラムをよく見て音合わせてるのが分かった。

3楽器のパワーバランスを調整する事も、スルツェイのように同じパワーで全員演れるのも、本当に凄い。

間奏、圧巻。

 

  • ヨーロッパ

「中毒 中毒 中毒」

様々なバリエーションの中毒をどうもありがとう。

叫ぶでもなく語りかけるでもなく、只正面に言葉を突き刺すような最後の「君の胸騒ぎが本当になるといいな。」

3公演(5月東京、6月京都)行って、1度も同じ歌い方でなかった。

様々な表現で聴けた事が幸福だった。

いつも通り、後奏は圧倒されるし目が忙しいし、それがいつも通りである事に改めて敬意を感じた。

MCで言っていた“妥協せずに”という言葉は嘘じゃないと信じられる。

妥協したらあんな演奏は絶対にできない。

 

 

 

~以下、MC覚え書き~

 

  • あいさつ

波「湿気の中…元気ですか?」

 

  • ラジオとセンス

ダ「昨日、ラジオの生放送に僕と健太が出演しました。聴いてくれた人分かると思うけど、め〜っちゃ褒めてくれるのね。俺も健太も、もちろん波多野くんもだけど。」

波「バンドマンが儲からないという事が徐々に分かられて来て…いや、僕達は儲かってますよ?今日も自家用ジェット機で来ました。」

ダ「伊丹空港まで。」

波「そんな中…People In The Boxを呼ぼうなんて、それだけでラジオの気概がね。センスありますよね。」

ダ「パーソナリティの人もお客さんもそうだけど、センスあるよ」

波「(梅田クアトロ)多分、今日ここに500人くらいいると思うんですけど…普段こんなにたくさんの人が聴いてくれてると実感の無い生活をしているので…こんなにたくさんセンスのある人達が集まってくれて嬉しいです。カメラオブスキュラのCDは映画のように、細かい所まで作り込んでいますが。ライブではカメラオブスキュラの世界を立ち上げるので…楽しんでください。」

 

  • 南の島

ダ「今日初めてPeople見る人〜?…結構いる。

どこに隠れてたの?15年前から待ってたよ!」

ダ「ちなみに今日、自分が一番遠くから来たと思う人〜?どこ?」

石垣島

会場「!?(拍手)」

メンバー「!?」

健「行ってみたぁい…」

波「僕と福井氏は割と南の方の島好きだからね」

ダ「………   似合わないよ?」

ひどい笑

ダ「僕は家族で沖縄行きましたね。」

波・健「いい↓なぁ↑〜〜」

インスタに半裸の俺の写真あるから今いいねして。今。」

健「(笑)」

波「2015年か2016年…9年前沖縄行った時に、滞在しようとしたんだよね。」

健「都道府県ツアーの時だね。」

波「演奏はちゃんとやるよ?でもその後はもう…凄いよって」

ダ「したの?」

健「いや、台風来てたんだよね。確かバンドで用事があって。」

波「明日飛ばなかったら帰れなくなっちゃうから、安全なフライトで帰った」

近くの人が「福井氏…」ってボソッと呟いたのおもろかった

心の底からの「いいなあ〜〜」もおもろかった

 

  • イギリスのキッズ

波「Spotifyの、全世界で一番聴かれてる国はアメリカだった(笑)」

ダ「アメリカ行きたいね!むしろ呼んで!」

波「アメリカには…センスのいい人が多いですからね。」

ダ「11年前ぐらいかな、僕らイギリス行ったんですよ。リヴァプール。(現地の人が)ナメてるんだよね、JAP!みたいなさ」

波「そんなことはないと思うけど(笑)」

ダ「だって覚えてるもん!ドラムの位置が真ん中だったから、前に出したいって言ったら『できない』って言うから、俺キレて『じゃあもう帰る』って言った。通訳さんが一番焦ってた(笑)何とか通訳さんが言ってくれて、『フン!』って感じでドラム動かしてくれたの。で、始まったらさっき『フン!』てしてたキッズたちが柵越えてるわけ。で、俺らの後ビートルズのパクリみたいなバンドで、そのドラムは上手いんだけど、ペダルが壊れちゃったみたいで。さっき『フン!』ってしてたヤツのペダルを直してあげたんだよ。終わった後めちゃくちゃハグされた。」

波「良い話だ。…そういえばアンプも1以上にするとダメだったなぁ。イギリスは古い建物を大事にするから…1以上にすると建物ごと揺れる。だったら1以上の目盛を作らないで欲しい…」

ダ「向こうの電圧がね。ガンッッて上がっちゃうんだよね。」

 

  • こんばんは

ダ「こぉんばんはぁ!」(エコー)

会場「こんばんはー!」

ダ「…良いね。エコーかけると横浜アリーナみたいな響き方するね。(お客さん向けに)エコーかけてこんばんは言える権利売る?500円で」

 

ダ「グッズを作りました…Tシャツです!」

会場「(拍手)」

ダ「大丈夫?知らないおじさんが町角で『Tシャツです!』って言ったら拍手するの?しないよね?…俺だからみんな拍手してくれてんだよね!」

会場「(拍手)」

何このノリ笑

ダ「みなさんの中のナチュラルを思い浮かべてください。…この色(Tシャツ)ナチュラルだと思う人〜?」

会場「(ちらほら)」

ダ「そしてこちら…(もう一枚Tシャツ)白に見える人〜?」

会場「(いっぱい)」

ダ「でもこれオフホワイトなんです!…いや待って。俺が勝手にオフにしてるだけかもしんない。(確認中)…これは白です。気合の入ってる白。」

健「…オンって事?」

ダ「そう。オフじゃない時の白。」

気合入ってる白(オンホワイト)でめちゃくちゃ笑った。悔しい。

 

  • こんばんはの完成度

ダ「昨日梅田歩いてたらさ、トートバッグ持ってる人いない。梅田って近所のスーパーみたいな感じじゃ無くて、ちょっと気合入れてく所?どうなの?」

会場「(うん…まあ…)」

ダ「どうなの?」

波「さっきからね、高熱の時見る夢みたいな光景だと思ってる」

ダ「(笑)」

波「こんばんはー!(元気)ぐらいからずっと。」

健「(笑)」

ダ「俺、年々こんばんはー!上手くなってる気がするんだよね」

波「こんばんはの完成度は確かに。」

ダ「こんなに声出るアラフォーいないよ?年々声が通るようになってる。」

健「でも今だに慣れない。」

ダ「えっ?」

健「いつもビビる。」

ダ「(笑)」

 

  • フライトタグ

ダ「この前仙台(ライブ)でPeopleのTシャツ着てる人いたから『ナイスTシャツ!』って声かけたらさ……その人スーッと行っちゃった。」

会場「(笑)」

健「メンバーの顔知らないんじゃない?」

ダ「え!?ライブ見てるのに!?」

健「うん。だから先に『ライブ見ました?』って声かけた方がいいよ。」

ダ「『ライブ見ました?ナイスTシャツ!』って?」

健「(笑)」

ダ「そういや使ってる駅でもフライトタグつけてる人この前見たの!…ナイスフライトタグ!って声かけてもいい人どんぐらいいる?」

会場「(割といる)」

波「でも我々中年男性は色々気をつける事が多いから…『自称バンドマンにナイスTシャツ!って声かけられました』なんて言われたら…」

ダ「自称バンドマン…(笑)」

健「自称バンドマンって何なんだろうね。バンドマンって悪いイメージなのかな。」

波「悪いでしょ〜!褒められる事も無いしさ…」

会場「\かっこいいよー!/」

波「えっ………何、急に……そういうのは逆効果…………ありがとうございます………」

隠を感じて安心しました。分かります分かります。

 

  • CD

ダ「あとCDです。」

波「CDは何より綺麗ですからね。裏面とか。あと鳥を避けます。」

何だと思ってるんだろう(笑)

波「たぶららさっ……。タブララサが出てから3年半。……口ではタブララサって言おうとしたんだけど、口がカメラオブスキュラになっちゃった。3年半…変わった事もあれば変わらない事もあって。僕たちはこれからも妥協せずにやります。」

凄く良い言葉だなと思った。

 

  • 残りわずかとなりました

ダ「People In The Box…残りわずかとなりました〜!」

会場「えーー!」

ダ「良いねぇ〜。あと何曲やると思う?」

会場「10曲」

ダ「10曲!?(笑)…いい感じにやってくんでよろしくぅ!!」

 

 

 

人生最初で最後の遠征、と思い東京・京都・大阪へ行ってみた。

題を「比べてみた」としたが、比べたかったのはその土地ごとの雰囲気である。

結論から言ったら、大阪が一番楽しかった。

 

東京が一番行きやすくはあるのだが、他の土地へ行ってみて実感した。

東京は人が多すぎる。

人の目を気にしてしまう。密度が高いから気を遣う。

これは悪い事ではなくて、東京で生きていく以上必要なサバイバル術だ。

日本第二の都市大阪は、思ったより人口密度が高くなく、丁度良い人の隙間と、(大阪だから、かは分からないけど)メンバーからの投げかけに自然に答える人が多くて楽しかった。

腕を上げて楽しむ人、間隔を空けてゆらゆらリズムを取る人、度々湧き上がる歓声。

その中に入る事は(関東人でもあるし)難しそうだけど、また大阪でライブを見てみたいな、と思った。

観客も含めて鑑賞に値する。

 

5年前に大阪へ行った時、めちゃくちゃ長文の『町A』の感想を書いた。

「これを読んでもらうために、出来る限りの事をしよう。」

全曲感想を始めた理由の最後の一つは、実はこれである。

読み返すと、少し梅田という場所についてネガティブな気持ちを抱いていた。

変わったのは、町か自分か。

何にせよ、停滞せず流動していく感想に、感情に、健全さを感じて良しとしよう。

 

流動は健全だと思う。

3公演のどれも、People In The Boxはエネルギーに満ち溢れていた。

前述の通り、『ヨーロッパ』は様々な表現を見せてくれた。

そして「また見たい」と思わせてくれる、旅に出る動機を与えてくれた。

感じて動くと書いて感動。

大団円を追いかけたのは、感動したからだった。

 

 

 

磔磔リベンジとCamera Obscuraの答え合わせ

2023.06.03

People In The Boxの大団円 京都

 

※セトリのネタバレを含みます。

※『Camera Obscura』を未聴のため新曲のタイトルが分かりませんでした。「これだったら良いな」とタイトル予想をしていました。

※個人的ツアーファイナルだったので、『Camera Obscura』を解禁しました。解禁後、タイトル予想との答え合わせをしました。

 

磔磔リベンジとは

酒蔵を改装したライブハウスというのが想像つかず、いつか行きたいと思っていた。

5年前の『Kodomo Rengou』ツアーでチケットを取っていたが、豪雨で京都に行く事が出来ず、大阪振替公演に泣く泣く変更した。

次にチャンスがあれば絶対に行こうと思っていた。

今がその時。

 

建物自体は割と・・・何ていうか・・・普通のライブハウスでした・・・笑

(自分が一つだけ願いを叶えて貰えるなら渋谷クアトロの柱をぶっ壊すと決めているのですが、クアトロ以外にもぶっ壊してぇ柱ができました。)

 

違うのはお客さんのノリだったのが面白かったです。

距離が近いからか関西のノリなのか分かりませんが、MCのレスポンスも多かったし、歓声を上げる人が多かったり(自分もそっちのタイプなので嬉しい!)、ミネルヴァで腕上げて乗ってる人がいておおって思いました(気持ち分かるぜ!)。東京では腕上げてる人見た事無かったので・・・。いたらすみません。

ヒューリックホールでは良い意味で気取った格好良さを感じましたが、磔磔ではもっと近しいロック兄さんって感じで、土地によって変わるのが興味深かったです。こうして追っかけって出来るんですね。

いや、多分今年は最初で最後の追っかけです。

これから先の人生、こんな無茶は出来ないと分かっているので・・・”どうか後悔の無きよう”チケットを取りました。

 

 

【うろ覚えセットリスト】東京と(ほぼ)一緒でした。

  • 螺旋をほどく話
  • 予想)戦争がはじまる 正)スマート経済
  • 聖者たち
  • 自家製ベーコン
  • 町A
  • あなたの中の忘れた海
  • 予想)中央競人場 正)戦争がはじまる
  • DPPELGNGR
  • 旧市街
  • 予想)石化する経済
  • 机上の空軍
  • 予想)カセットテープ

〇中央競人場 (メモ無 正しいセトリ調べた所、この位置)

  • 予想)水晶体に漂う世界
  • ミネルヴァ
  • スルツェイ
  • ヨーロッパ

 

 

●予想)中央競人場 正)戦争がはじまる

最初の囁くような「らん、らん、らん」のコーラスがなんだか可愛い。

サビに向けて徐々に強くなって(クレッシェンドして)いくドラムがめーちゃくちゃ格好良かった。

残念ながら座っているダイゴマン、一切見えなかったけどね・・・。悔しい。

(整番24番だったんですけど、台風の影響で新幹線が2時間半遅れ、17:40に京都駅着いたのでムリでしたね。間に合っただけでも良かったわいね。)

 

なんかやたらこれ好きで、途中から「葬式で流してくれ~~~」って思ってました。

解禁後曲名見て「葬式で流したらダメな曲名だな」って諦めました。

 

●予想)石化する経済

消去法でしたが予想、的中。

しかし「そうよって」だと思った歌詞が「象よって」とは思いませんでした。

前回記事で”歌詞を見たいカメラオブスキュラ第一位”って書いたんですが、見たら混乱しました。

ピープル”らしさ”を浴びたな・・・これよ、これ。こういうのよ。

 

●予想)カセットテープ

ヒューリックホールと全く一緒で「時間巻き戻れ」と願った曲。

だからカセットテープだと思った。

合っていたので鴨川までの道すがら、四条通りでニヤァ・・・笑ってしまいました。

 

夜の鴨川が見たくて、歩きながら『Camera Obscura』を解禁したのですが全部良かった。びっくりした。

中でも『ドッペルゲンガー』『戦争がはじまる』『水晶体に漂う世界』『カセットテープ』を延々と聴いているし頭から離れない。

 

3ピースバンドが好きな理由の一つに、全員でコーラスするのが好きというのがある。

全員が同じ方を向いて歌うっていう風景に、”この瞬間の音のために全てが存在している”完璧さを感じて心地よくなる。

難しい事言おうとして伝わりにくくなって申し訳ないが、何度考えてもこの文になってしまう。

歌詞を見て更に感動しましたよ。

<優しいポルターガイスト 放っといても問題ないよ>

<贖う時代精神(ツァイガイスト) 驚いて笑い飛ばして>

こんな難しい言葉をさぁ歌詞にしてさぁ音は明るく楽しく前向きなのにさぁこのギャップが・・・好きなんですよね~~。

それを、コーラス2人が歌詞を理解して歌っている。

その事実が感動的なんだけど・・・難しい事言おうとしてますね。やめましょう。

(ちゃんと固めて、全曲感想の際に。)

 

●予想)水晶体に漂う世界

「これが<水晶体に漂う世界>じゃなかったらおかしい」と自然に思った曲。

合っていたのでちょっと鳥肌立ちました。

3人のコーラスをどこまでもいつまでも聴いていたくなる気持ちのいい曲。

それでいて終曲に向かって行く緊張感を伴っているから、演奏する身体とハモらせる喉が同時に存在しているのがおかしい。あの人たち3人ともおかしいな。(最上級の褒め言葉です)

<ローリング、サウンド、カメラ、セット、アクション>のリズムの良さと、タイミングの合わせ方と、テンション上がらない方がおかしいよね。

<視たい>とか<青い世界>とか、水晶体(眼)をイメージさせる単語が登場するので分かりやすく、そういう意味でキャッチーな曲だと思う。

 

解禁後<頭上キラリ、光>のとこが好きすぎて落ち込みました。

「時間戻って欲しい・・・もっかいライブでちゃんと聴きたい・・・何故・・・まだ新曲聴いてません、ライブで初めて聴きたいので(キリッ)とか言ったんだろう・・・バカめ・・・っ!へただなあ。欲望の解放のさせ方がへたっぴさ・・・!」

時間戻れ・・・マジで・・・

 

●ミネルヴァ

あっ・・・(察し)

 

●ヨーロッパ

ポエトリーリーディング部分、ヒューリックホールとは違ってお話を”読む”ようだった。

音源に近くて聞き馴染みのある歌い方だったが、まだヒューリックホールの声にならないシャウトの衝撃が残っている・・・。

 

ヒューリックホールの時と状況が少し進み、胸騒ぎは本当になりかけている。いや、胸騒ぎを本当にするのは自分の意思だと気合を入れている。

だから最後に叫ばれた<君の胸騒ぎが本当になるといいな!!>という力強い声に応えようと思った。

そしてまたいつか、「本当にしてやったよ」と何でもない事のように笑って、またライブ会場で『ヨーロッパ』を聴きたい。

 

 

●MC:水道水

ダ「熊本ってさぁミネラルウォーター出るらしいんだよ。熊本の人いる~?水道水からミネラルウォーター出る?」

観客「地下水です!」

ダ「あのホテル嘘ついたー!!水道からミネラルウォーター出るって書いてあったもん!」

波「水道水飲めるのって日本だけらしいよ。」

ダ「北京行った時に水道水で口ゆすいじゃダメって言われたよ。」

健「シャワーは?」

ダ「いや、それがさ、シャワー浴びてる時に口ゆすいじゃったんだよ。次の日ダメだった。」

健「検査した?」

ダ「したした。陰性カッコ(一匹も何もいません)って書いてあった。」

健「よかった。・・・いや、俺も地下水育ちだから。」

ダ「岐阜も!?」

健「うん。インドは?」

波「インドは絶ぇっ対にダメだよ!!」(今日イチ響き渡るでかい声)

健「笑」

波「大気汚染で夕陽が紫になってるんだよ。そんな所の水絶ぇっ対にダメだよ。」

ダ「ガンジス川も問題になってるんでしょ?洗剤とか。」

波「そうそう。でも魚いるんだよ。」

ダ「魚いるの!?」

波「出て来たよ。フィッシュカレー。そりゃ出されたら食べるし」

健「大丈夫だった?」

波「大丈夫だったけど、次の日のどの扁桃腺(へんとうせん)の上らへんがブクブクに腫れたね。」

ダ「それは大丈夫じゃないね!?」

健「シャワーは?」

波「広げるねぇ!?あるよぉこの先も!!それは取っておこう!?・・・(ツアー)初日にMC長すぎたんで反省会したんです。」

健「(深刻な顔でコクコクコク)」

2人ともやっちまったって顔してたんで(ダイゴマンは位置的に見えなかった)、多分すごく反省会したんでしょうね・・・笑

そして図らずも初日と同じく、1回目のMCで健康トーク

 

●匹

(グッズのタオル紹介)ダ「クマが・・・3匹。頭?クマって何て数える?」

健「・・・匹?」

波「・・・いや、頭?」

ダ「変な数え方いっぱいあるよね。イカは一杯だもん。パイって何?他にそれで数えられるのオッパイぐらいしか無いよ。」

波「・・・・・・」

健「・・・・・・」

波「僕下品なの大っ嫌いなんですよね!」(今日二番目でかい声)

波「(ところで)ウサギって1羽なんだよね。羽無いのに。」

ダ「この話終わりが無いよ?次いきます」

健「(コクコクコク)」

波「存在は!?1存在、2存在。」

ダ・健「笑」

どっからそんな発想出て来るんだ・・・

結局笑ってしまってすぐ次いけませんでした(笑)

 

ナチュラ

ダ「人によってナチュラルって違うじゃん。俺にとってのナチュラルってグレー寄りなのよ。同じ人いる?」

会場「(結構いる)」

波「だからこだわってたんだ・・・」

健「あー」

波「今、ナゾが解けた。」

ヒューリックホールでもナチュラルの色合い聞いてましたねぇ。

各会場で聞いてたんかな?笑

 

~~~~~

トートバッグ紹介時。

健「でも俺、トートのナチュラルはこれかも。(ベージュっぽい色)」

ダ「それは話変わってくるよ!?グッズによってナチュラル違うってのは!!」

 

●伏線回収

波「15周年を締めくくるPeople In The Boxの大団円。Camera Obscura、これから先も色んな意味を持って来る作品になったと思うので、楽しんで下さい。」

ダ「今日初めてPeople見るよ~って人~?」

会場「(何人かいる)」

ダ「・・・15年前からそこ、空けてたよ!」

このコメント、毎回好き。

ダ「そして15年前からTシャツを作ってました。」

波「そしてこれからも・・・人類が滅亡した後も、荒野みたいな所で・・・Peopleのグッズを作り続けます。我々がいなくなった後もグッズだけは作られるんで・・・。」

どっからそんな発想でるん?

ダ「グッズが1存在やね。」

波・健「!!」

そして見事な伏線回収。

 

 

正しいセトリを調べる前に自分のメモを見返すと、絶対にカセットテープが先で、水晶体に漂う世界が後だったのだが、アルバムの曲順でないから順序に自信が無かった。

調べた後、その順序は合っていた事が分かり、ほっとした。

同時に、”もしかしたら水晶体~が9曲目だったのかもしれない”と根拠のない想像をし、まぼろしのCamera Obscuraを夢想した。

 

聴けば聴くほど繊細さと荒々しさの同居するこのアルバムの不思議さに囚われていく。

リリースツアーだけが、全曲演奏される事が決まっている。

そう考えると、この先のライブでもし一生『DPPLGNGR』『戦争がはじまる』『水晶体に漂う世界』『カセットテープ』が聴けなかったら後悔する。

そう思ってしまい、6月24日大阪公演おかわりチケット取っちゃいました~~~~~~~~~~~

大阪を個人的ツアーファイナルとする。

 

 

People In The Boxはもっと評価されるべき



2023年5月21日

有楽町ヒューリックホール

 

※セトリのネタバレを含みます

※『Camera Obscura』を未聴のため新曲のタイトルが分かりません。「これだったら良いな」とタイトル予想をしています。

※正しいセットリストを調べていません。順序間違いや抜けがある可能性があります。

 

【うろ覚えセットリスト】

・螺旋をほどく話

・戦争がはじまる?

来世来世~~で始まるやつ ゴリゴリなので攻撃的なものをイメージ

・聖者たち

―挨拶

ドッペルゲンガー

曲の前にタイトルを言ってくれたのでこれは大丈夫

・町A

・自家製ベーコン

結構ハッキリベーコンって言ってた

・中央競人場?

ラン(run)、ラン(run)、ラン(run)と聞こえた。走っているものをイメージ

・あなたの中の忘れた海

・机上の空軍

・旧市街

―MC

・(他曲からの消去法で)石化する経済?

・水晶体に漂う世界?

・カセットテープ?

・スルツェイ

・ヨーロッパ

 

People In The Boxは座席のあるホール演奏が似合うと思う。

スタンディングの方が自分の気質には合っていて、じっとしているのは正直苦手なのだが、それでも彼らにはホール演奏が似合う。

舞台は青い照明が薄ら点いていて、一夜限りの美術館の展示品のようだ、と思った。

People In The Boxの音楽にどうして惹かれるのか、自分の答えをやっと掴みかけている。

彼らはバンドという形の芸術家で、ライブは形に残らない作品である。

形に残らないから一瞬一瞬を目に耳に刻み付けたいと思うし、せめて自分が感じた事ぐらい、残したいと思うのだ。

 

 

  • 螺旋をほどく話

ずっと楽しみにしていた新曲で、GWからずっと聴いていた曲を、ライブで聴ける事が単純に嬉しかった。

音圧が凄かった。

自分が初めてPeopleのライブを見たのは中野サンプラザだったが、その時受けた”ドラムの音が心臓に突き刺さる感じ”を今回も感じた。

しかしあの時はドラムの音だと思っていたが、演奏の手元を見るにベースの音の方が強いっぽい。

ベースが心臓に突き刺さってこのバンドが好きになった。

きっかけの衝撃を再び得る事が出来て、何というか、今日は自分の感性のチャンネルがPeopleに合ってるなぁと安心した。

あー、あーああああーあー。

伸びやかなコーラスはライブだととんでもなく気持ち良かった。

音源(Youtube)だと整理整頓されている事が分かったが、演奏ではんもう3楽器の音圧がグイグイ来て耳が忙しい。

これ本当に3人でやってる?

 

  • 戦争がはじまる?

『無限会社』みがある。

ゴリゴリで重い。

照明も赤紫で怪しい感じがカッコイイ。

 

  • 聖者たち

ブログのために『翻訳機~聖者たち』のMVを見まくっていたので個人的に嬉しかった。

いや~~かっこいい。

『螺旋をほどく話』しかり、MVとライブの音圧の違いとか、良い意味での荒々しい演奏が聴けるので、MVを見まくっておく事は自分の為になりますね。

 

ダイゴマンと健太氏のゆるゆる健康トーク(後述)から一転、波多野氏の「ドッペルゲンガー。」という囁きが合図だった。

青と黄色の証明が格好良かった・・・。

点滅によって、ステージ上はシャッターを連続で切った映像のようになっていた。

早く青と黄色で絵描きたい。

これがアルバム1曲目なのかぁ。

攻めてるなぁ。

 

  • 町A

私事だが、前日は地元の方へ出張しており、当日は出張の大荷物を抱えてライブ鑑賞していた。

午前中は地元の友人と小さい観覧車に乗って、地元の風景を眺めながらダラダラ過ごしていた。

地元は千葉だが、田舎というには栄えているし、都会というには何も無い。

そして『町A』に出て来る施設はほとんどある。

典型的な日本の、国道沿いの風景。

だから『町A』は好きだ。

『町A』を聴くと地元を思い出すし、<陽の差す部屋>で『Wall,Window』を聴いていた幸福を思い出す。

 

今日は特に、観覧車に乗ったせいかもしれない。

戻ろうと思えば戻れる地元。

けど心の中から「まだその時じゃない」と何者かが叫んでいる。

地元に留まっていたら、どんな人生を歩んでいたのか想像する。

考える意味など無い事を想像する。

ノスタルジーという言葉では括れない何かが『町A』にはあって、情景描写の言葉の力は大きいんだけど、涙が出るのは演奏に依るものだと思う。

 

サビ後の演奏が本当に凄かった。

胸に迫るというんだろうか。

凄すぎて曲終わった時「あ~~~もうこれ最後の曲で良い~~~これ以上はキャパオーバーだぜ~~~」て思いました。

 

  • 自家製ベーコンの作り方

ちゃんと聞き取れてないけどおいしそうな歌詞だなって思いました。

歌詞ふざけてても演奏はガチだったので、きっとPeopleらしい曲なんだろうな~と想像してます。音源聴きます。

 

  • 中央競人場?

これ本当に3人でやってる?

 

  • あなたのなかの忘れた海

ドラム→ベース→ギター と音が増えていく前奏があまりに格好良かった。

ドラムやベースが心臓を突き刺す感じとは別に、心臓のリズムに合わせてドラムが鳴っているように感じた。

変な自覚はあるけどその時感じた事を素直に表現するなら、自分の心臓がステージにあって、ドラムの音に合わせて脈を打っていた。

なぜか「あそこに行きたい」と思っていた。

演者になりたいという意味じゃないんだけど、自分も人を感動させる側になりたいと思った。

いや、それはずっと前から思っている事だけど、今日はなんだかそういう感動だった。

こんなに沢山の人を感動させるあの3人は何て格好良いんだろう、自分もあっち側に行きたいなぁ。

 

青い照明が座席からステージに向かって順々に光っていた。

それは波のようで、ライブハウスでは出来ない演出だなぁと眺めていた。

綺麗だった。

 

  • 机上の空軍

ブログのために『Talky Organs』の歌詞を見返していたので、個人的に嬉しかった。

何気にライブではレア曲だと思う。

めっちゃ良かった。

<たっとえて、ゆーうならぁー>から<るるるる、るるるる>のコーラスまで、何だか牧歌的で平和で楽しくなる。

<宇宙より広いプラネタリウム

<意味より分厚いディクショナリー>

かなり上位の好きな歌詞たち。

伸びやかに歌われるので、気持ちいい。

 

  • 旧市街

アレンジされてる?

初めて聴くかのような新鮮な格好良さで、マジ初めて聴いた時のように「何だこの曲!?こんなカッコイイ曲この世に存在したのか!?」て思ってしまった。親の声より聴いた曲。

ドラムに近づいて演奏する波多野さん、レアだった(旧市街だったと思うんだけどなー)。

そんな・・・そんな若手バンドみたいな・・・演奏の楽しさを全身で表現しちゃうバンドマンみたいな・・・

一生やって欲しい。

 

音源のように切羽詰まった歌い方ではなく落ち着いていたが、その分サウンドが力強かった。

耳良くないから正確な事は分からんのですが、全体的に音が高めになっていた気がする。

そこにベースがもうゴリゴリに、ドゥルンドゥルンに入って来るもんだからドライブ感というか疾走感が増したというか。

ベースの存在感を強く感じましたが、ドラムももちろんゴリゴリのドリンドリンのバシャンバシャーンで非常に良かったです。

 

  • スマート製品?

スマーート!っていうコーラスがあった気がするのでスマート製品。

聖者たちの始まりみたいにベースがゴリゴリカッコイイやつ。

ギターとベースがバチバチに決めてて、間違いなくライブで見るのが楽しいんだろうな。

圧が凄かった。

今日のライブは何回も「これ本当に3人でやってる?」と思う場面があったが、この曲に関しては間違いなくベース2人位いた。(いないよ)

 

  • 石化する経済?

<ゾクゾクしてもあなたに分けてあげない>

ちゃんと歌詞を見たいカメラオブスキュラ第一位。

以前のライブで聴いた事は間違いなくある。

でも完成した今だからこそ?響いたというか。

カメラオブスキュラで一番好きな予感がする。

楽器より歌メインという感じがした。

大変そうだな~と思って聴いてたら「ゾクゾクしても~」って危なそうな歌詞が聴こえたので、「ああ・・・多分好きだな・・・」

歌詞が聴き取れなくて何を言っているのか分からないのに、サビで急にクリアになってキラーフレーズを”聞かせ”て来る曲に弱い。

これはそのジャンルに入る。

 

  • 水晶体に漂う世界?

ポップでキュートでキャッチーでJ-POPみたいなピープルインザボックス!!

え、こんな曲作れるの??ユニゾンナントカガーデンかと思った。アニソン起用してもろて。

なんですかね・・・なんか可愛い曲でした。

 

  • カセットテープ?

これがカセットテープだったら良いな、と思った曲。

この曲を聴いている最中に「今日の17時半に巻き戻って欲しいな。もう一回17時半からやり直したいな。」と思ったから。

 

  • スルツェイ

聴けたら嬉しいな~と思っていたので大ビンゴ神に感謝。

<まだまだ君は生きなさい>って歌詞はとても強い意味があり好きなのだが、シャウトはしなかった。

その後の凄まじい演奏が雄弁で、「生きろ」と言っているように感じて、本日何度目かの涙が流れた。だいぶ流れた。

位置的な問題かもしれないが、ギターとベースの距離が近く感じたのと、タイミングを測っているような様子が見られてレアだった。

「ドドドド テーレレー↑テーレレー↑」(伝わる?)のピッタリ合わさる演奏、聴く側としては慣れてしまったかもしれないが全く当然ではない。凄い。

 

  • ヨーロッパ

新曲がリリースされ続けても、トリを飾る回数が圧倒的に多いであろう『ヨーロッパ』は凄い。

ギターとベースの準備中?ドラムがイントロを3回程焦らすように演奏していた。

波多野さんが頷いて、満を持して演奏が始まった。

 

ポエトリーリーディングがやっぱり好きだ。

今日は割と淡々としていて、演奏に力入ってんな~とのほほんと聴いていた所へブチ込まれるラスト。

「きみの胸騒ぎが本当になるといいな!」「ああ!―――――――――――――!!!」言葉にならないシャウトがめちゃくちゃ良くて、いやこっちが「うわああーーーーーーーーーーーーー!!!」て叫びそうになった。厳禁。最悪の場合出禁。

後奏やばかったですよ。

ベースが速すぎていや、え、いや、え??早送り???

ギターもめちゃくちゃ熱くて、全身全霊という感じだった。

 

また個人的な話題で恐縮だが、創作活動において「きみの胸騒ぎが本当になるといいな」な出来事が起きようとしている。

『ヨーロッパ』を初めて聴いた時の、このバンドに対するワクワクの胸騒ぎじゃなくって、自分の力を試せるかもしれないドキドキの胸騒ぎが起きようとしている。

計画は頓挫するかもしれない、とは言われている。

それでも挑戦できる舞台があるなら全力で飛び乗りたい。

ステージごと無くなる可能性があったとしても、今は考えなくていい。

だから今日の『ヨーロッパ』は応援歌だった。

今日の『スルツェイ』は応援歌だった。

『あなたのなかの忘れた海』に憧れた。

 

どうしてこんな良いバンドを誰も知らないんだろう。

べつにバズったりしなくて良いんだけどさ。

彼らは音楽に誠実すぎて、演奏以外に自分らを魅せる方法が少ないように思う。

べつにそのままで良いんだけどさ。

ただ少しでも多くの人にPeople In The Boxの良さを説明するために、あえてチープな言葉を使うとすれば”もっと評価されるべき”だ。

自分の事が片付いたら、次はPeople In The Boxがもっと評価される世界を願って胸騒ぎが起きるだろう。

<きみ胸騒ぎが本当になるといいな>

 

 

ダ「最近、流しにお皿運んでるだけで肩痛めたの。こんだけドラムやってて、大体痛める所って決まってんのよ。手首、俺だったらスネの前の筋肉。なのに、皿運んだだけで肩。健太もね、もうすぐ来るよ。」

健「俺、10年前から2人に「もうすぐ来るよ」って言われてるから気を付けてるよ。」

波「こんだけ健康に気を遣っている2人(ダ・波)なのに・・・」

ダ「だって(健)、酒も飲むしタバコも吸うでしょ?」

健「でも何も無いよ。気にしすぎない方がいいんだよ!」

(会場から盛大な拍手。)

 

ダ「Tシャツの色、ナチュラル。ナチュラルってさぁ・・・」

健「・・・」

ダ「・・・」

ダ「ガムの味でナチュラルってあったらどう?」

健「ガム・・・」

波「怠慢だよね。」

会場「!?」

ダ「人によって違うもんね。ナチュラルって。」

波「”光生まれる前の漆黒こそがナチュラル”って言う人がいるかもしれないしね。」

全員ツボった。

 

  • MC:タオル

ダ「この熊は強いんですかね?」

健「うん、強いよ。本当はね。でも爪を隠してる。」

ダ「強いけど・・・爪を隠している??」

健「優しいの。」

ダ「優しい熊だそうです。」

 

  • MC:カレー

(ダイゴマンがドクターペッパーに20種類のフレーバーがあるって話からスパイスの話になってスパイス=漢方説を波多野氏が唱えた というくだりがあります)

波「カレーってさ、スパイスを煮込んだものでしょ。あれ、外から来た人が”カレー”って呼んで、インドの人達が”これカレーって呼んで喜んでくれてる~”と思って自らカレーって名乗ったらしいよ。」

ダ「え?(カレーという物に名前が)無かったって事?」

波「そうそう。彼らにとっては”スパイスを煮込んだもの”で、こだわりは無かったんだよ。そういう・・・。・・・良い話。」

 

波「アールグレイってあるじゃない。ダージリンはインドの産地からだけど、紅茶の種類としてアールグレイ産があるわけじゃなくて・・・」

ダ「ん?アールグレイさん?」

波「アールグレイさんって人じゃないよ。」

ダ「あ、俺サンドイッチみたいな事かと思った。サンドイッチ伯爵みたいな人がいて・・・」

波「アールグレイ伯爵。」

ダ「そうそう(笑)」

波「いや、アールグレイって、”ベルガモットの香りをつけた紅茶”の事を言うんだって。お茶ってウーロン茶とか一緒じゃない。」

ダ「緑茶も一緒の茶葉らしいね。」

波「それを知って・・・あ、(会場に)知ってた人いますか~?」

会場「(思ったより大勢が挙手)」

ダ「1人ステージに上げるか!?本当に知ってたかって!?こんなにいるとは思わなかった!」

波「それだけ文化レベルの高い人達がここには集まっていると・・・」

会場「(拍手)」

波「だっておかしいもん。アールグレイはおいし過ぎる!!おかしすぎるから調べたらそういう事が分かって。」

アールグレイはおいし過ぎる!!の所で健太さんがコクコク頷いてたのが微笑ましかったです。

ピープルみんな紅茶好きなんだね。優雅だね。グッズ待ってます。

 

  • MC:CD

波「これ以上は無理という所までやった作品です。これまで通り、長い時間をかけて意味を持つものになっていると思うので・・・。友達にも「これ良いよ」って勧めてください。・・・しなくていいですけど。

楽しんでください。あとは・・・褒めて欲しいです。(会場から盛大な拍手)実は僕たち、とても褒められたい人達なので・・・。(今の拍手で)伝わってます。伝えてるし、伝わってます。」

 

  • MC:グッズ紹介より長くなってしまった雑談たち

ダ「話し過ぎたね!!!」

他の人はどう思ってるか分かりませんが自分は永遠にやって貰って大丈夫でした。

でももしかしたら、話し過ぎて時間無くなってアンコール無かったのかもしれませんな!!笑

 

 

開拓地

 

オリエンタルな曲調を保ちながら、カントリーギターを想起する。

どこか懐かしい音は、21曲70分を聴き終えた聴者に「お疲れ様」と言ってくれているようだ。

 

<向かう場所はいつでも荒れ地だった>

『Wether Report』の旅の終着点はここだ。

"あしたはどこへ行こう 孤立無援のまま"と『脱皮後』で歩き始めた旅人の行き先は、荒れ地だった。

荒れ地に向かう旅人に、"それだけできみは腰抜けではない"とエールを送る曲。

『脱皮後』はそういう曲だと思う。

言葉のチョイスはファンタジックだが、描く状況はリアルだ。

下手に夢を見せられるより、「ユートピアなんか無いんだよ」と宣言してくれる方がよっぽど親切だし、よっぽど信頼できる。

 

21曲を振り返りこの曲が最後を飾る事の意味を考える。

一言で言うと強(したた)かだと思う。

音楽を諦めない。

演奏をやめない。

フェスに出なくても、テレビの音楽番組に出なくても、J-ROCKの販売定石から外れようがお構いなしに彼らは活動を続けてきた。続けている。

『Wether Report』もヘンな楽器が多かった。

名前は分からないしジャンルも分からない。

「難しくて分からない」と言う人を振り落とし、自らが向かいたい場所へぶれずに進んでいく。

大勢の人がいる景色ではなく、もっと音楽に根源的な景色を見に行こうとしている。

だけどそこは、荒れ地だった。

その事実を彼らは昔から知っていたような気がする。

だからこの曲のタイトルが『開拓地』なのは、『Wether Report』で実験を繰り返した結果、進んで行く決意をしたからだと思う。

引き返す事も出来たろうに、彼らは"開拓者"でい続ける事を選択した。

 

メロディも、歌詞も、どこかさびしい。

タイトル通り、何も無い土地を風が吹き抜けていくようだ。

<空っぽの小屋が佇んでいる>

<それは迷路だった>

<途方にくれた>

それでも聴き終えると清々しい気持ちになるのは何故だろう。

 

<ようこそごきげんいかが>

<孤独な旅人>

<祈りが終わったら>

<食事にしようよ>

<おなかが空いたら>

<食事にしようよ>

最後は労(ねぎら)いの言葉がかけられる。

開拓者の家へ迎え入れられ、共に感謝の祈りを捧げ、おなかが空いたら共に食事を摂る。

さびしさの中に安寧があるのは、荒れ地で生きていく事を受け入れた開拓者に出会ったからだ。

我々は『開拓地』に到着した事で孤独ではなくなった。

それゆえの清々しさではないか。

 

お腹が空いたら食事にしようよ、という至極当然のフレーズがとても好きだ。

そうだよね。

21曲聴き切って、疲れたよね。

当然だよ。

演者にも心の中で労いを送り、プレイヤーを止める。

散々難解だったり皮肉気味な歌詞を使いこなして来たくせに、最後の最後で簡単な言葉で締めくくるのが憎いというか、可愛げがあって、こういう一面も構成要素なんだよなぁ。

端的に言えばギャップが良いという事です。

 

ライブだと<おなかが空いたら食事にしようよ>はコーラスになる。

福井健太氏の低音コーラスはいつ聴いても楽器と調和しすぎて、5つ目の楽器と言いたくなる。

割とライブでの演奏率が高い気がする。

最後を飾る場面に出会った事は無いが、トリ曲でも納得の壮大感がある。

 

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お付き合い頂きありがとうございました。

21曲、21週、毎週欠かさず更新する事が出来ました。

私情で『Wall,Window』の開始は少し先になる予定ですが、復活した際はまた楽しみにして頂ければと思います。

あ、今はそれどころじゃないですね。

『Camera Obscura』ですね。

自分はまだ"カメラオブスキュラを知ってしまった世界線"へ行くのが勿体なくて聴いてません。

 

 

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鉱山

 

何だこの楽器は・・・

聴き覚えがあるような、でも楽器名は分からなくて。

東南アジア風の、とかアフリカ民族楽器のような、とかきちんと定義出来ればよかった。

それほど耳聡くは無く、知識すらも無く、ただ感覚のみで「不思議だなあ」とか「癒されるなあ」としか書けない貧相な駄文をご容赦ください。

 

音が難しいように、歌詞も難しい。

<聖なるビルのふもと>

<電磁波の降るなかを>

People In The Box(または、波多野裕文)の歌詞世界で度々登場するモチーフ、都市の神聖化と否定。

ハレルヤと祝福された『塔(エンパイアステートメント)』を思い出す。

『大陸』の向こう側に置いて来たと思ったあの『塔』は、もしかしたらとても大事な物だったのかもしれない。

『脱皮後』に歩き出した新世界でも聖なる『塔』のふもとに立ち続けている。

『船』で「放送はこれでおしまい」と別れを告げたが、電磁波はまだ降っている。

電波はまだ届いている。

結局逃れられないという諦めか。

それとも脱出したと勘違いしただけで、『大陸』は地続きだったのか。

 

<螺旋の樹に登る21人の子供>

21人の子供とは、『Wether Report』収録の21曲の事だろうか?

安易な気もするが、だからといって歌詞の理解に役立つわけでもない。

ただ、この"螺旋"が何を意味するのかは考察しがいがある。

(2023年5月10日最新アルバム『Camera Obscura』発売おめでとうございます。MV曲『螺旋をほどく話』にもあるように、People In The Boxにとって"螺旋"には意味があると深読みしたい。)

 

<ぼくは歩いて帰ろう>

<見上げた空は虹色>

行き先不明の旅路の終着点は帰るべき処だった。

エキゾチックな音に乗る<帰ろう>のコーラスは、自分には「辿り着けなかった」という悲しみや諦めのように聴こえる。

虹色というポジティブなイメージのある言葉ですら、冷笑めいた絶望を感じる。

空が虹色だとして、それを美しいと感じるかは見る者の心次第。

 

20曲目、『鉱山』。

険しい山を登って行くような曲だ。

酸素は薄く、妙な息苦しさがある。

それでも音楽は美しく、邦ロックのジャンルに囚われない音作りが格好いい。

楽器のクレジットが無いか、『Wether Report』の歌詞カードを開いてみた。

縦長の紙には4枚の写真がプリントされている。

すべて光が美しい。光を撮影するためにそれ以外が存在しているようだ。

ジャケット候補だったのかな。

自分は花の写ったものが好きです。

結局、楽器のクレジットは無かった。

ただ、"music"―People In The Box(exept 鉱山 edit Uni Inoue)らしい。

―鉱山のみ井上うにさんが編集しています。

井上さんが編集・加工してあの音を入れたのか?

井上さんが演奏しているのでクレジット表記しているのか?

答えは無いが、クレジットを眺めているとたくさんの人が携わっているんだなぁと改めて思う。

『鉱山』を登っているのは、演者の3人だけではない。

制作に携わった人々、それに"and share sympathies with them"した我々。

 

"共感を分ちあってくれたあなた方"というクレジット表記が大好きだ。

このバンドを好きになった理由のひとつでもある。

全ての人々が『鉱山』を登り切った先が――ジャケットの景色であったなら、この写真に必然性がある。

 

残り1曲。

山の向こうに広がる景色を、耳で観に行こう。

 

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