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10年越しにamazarashiにハマった

 

2023年2月。

漫画『チ。』が気になって半年経っていた。

読む時間も無いしなぁとうだうだしていたら、Youtubeに『カシオピア係留所』のMVが現れた。

MVならすぐ見れる。

「amazarashiか、『さよならごっこ』以来聞いてなかったなー」と思いつつ再生したのが、はじまりだった。

 

その後『チ。』も全巻揃えました。

これはたいへん良い漫画です。

あまりに良い漫画です。

天文とか歴史とかよりも、“ものづくり”に関わる人へ向けた漫画だと感じました。

『チ。』は別の場所で語るとして、温めていたamazarashiについて書きたい事を書いてみます。

 

正確には9年前だと思う。

就活中に「こんなネガティブなアーティスト聴けん…」となってしまった。

『夏を待っていました』と『性善説』だけはその後も定期的に聴いていて、『さよならごっこ』で一瞬浮上したものの、新曲をチェックするアーティストではなくなっていた。

『カシオピア係留所』で驚いたのは、歌声の変化だった。

「こんなに優しい歌い方だったっけ?」

優しい。

9年前と全然違う。

曲風も、聴いた事のない感じだった。

「こんな曲も作れるんだ」と驚きつつ、「自分が好きだったamazarashiは爽やかな音楽とそれに反比例するネガティブな歌詞だった。メッセージ性の強いものだったはず。本当に同じアーティストなのか?」と疑問も感じた。

それを確かめるために新しめの曲からYoutubeを再生していった。

この時点で沼に片足突っ込んでいた。

“もっと知りたい”と思う時点で、半分、ハマったようなもんなのだ。

 

『チ。』を読み終わるまで、随分長いこと『カシオピア係留所』を聴いた。

次に聴く曲も、タイアップ系を選んでいく。『さよならごっこ』『命にふさわしい』は知っていたが当時そこまでハマらなかったので改めて聴いた。

撃沈ですね。

いやぁ………そうですか……

あの章の2人に重ねてしまった。

しばらく『さよならごっこ』『命にふさわしい』『カシオピア係留所』だけを聴く期間が続いた。

(あの頃は決算時期で、助けられたなァ)

仕事も落ち着き、『1.0』を聴く心の準備が整った。

活版印刷の意味がわかった。

……活版印刷ッ……!!

ここまでやってアニメの主題歌がamazarashiじゃなかったら発狂する。行動を開始する。

と、ここまではまだ『チ。』のイメージソングとしてハマっていた。

(のちに『1.0』単体でもクソデカ感情を持っていかれる。)

他の曲も聴いて良かったら、きっとamazarashi自体にハマるだろう。

自分を試す気持ちで、次に気になる曲を聴いてみた。

 

ロストボーイズ』

サムネがアニメっぽい。

そういえば昔の曲もアニメとCGの中間みたいなMVだったな。

顔出ししないというのは何となく知っていたから、amazarashiの作風なのだと思い昔の曲とどれぐらい変わってるのか確かめたくなった。

結果、これがトドメとなった。

いや、むちゃくちゃ良いじゃん。

”爽やかな鬱”という褒め言葉がロック業界にはある。(個人調べ)

概してそういうジャンルの曲が好きである。

ロストボーイズ』はそこにドンピシャ嵌り、他にも好きな要素が詰まっていた。

絵が良かった。

結局、オタクなのでイラスト表現が大好きなのだ。

キリッとした青と、主人公(秋田さん?)のオレンジの眼鏡の対比が格好いい。

青とオレンジでアートワークを設定するセンスがすげ〜良かった(あんまり無い色の組み合わせだと思う)。

韻が気持ち良かった。

「神社で吐く煙、夏の雨 待ちぼうけ君のバス、ガスト前」

こちらは声に出して読みたい日本語として永遠に遺して頂きたい。

のちに、秋田さん自身HIP-HOPに造詣が深かった事を知るが、トラックに乗せて歌うラップと違い、ロックミュージックに乗せて歌われる韻の選び方、センス。

歌詞がたまらなかった。

自分の知っているamazarashi成分、“ネガティブなのにどこか前向き”。

それはヤケクソと表現する事もできるが、別の言い方をすれば「鬱屈も増幅すればアートたりうる(アオモリオルタナティブ)」。

「始まりにはいつも 溜息が出ちゃうな 始業式や朝礼や 今日一日の目覚めとか」

わかるわぁ

「ここじゃない気がしてる でも理由はわからない 憂鬱ってのは知ってる でも漢字じゃ書けない」

わかるわぁ

Youtubeに「でも頑張ればかけるようになるかも」というコメントがついていた。

「センスある」

「凄く秋田ひろむさんの感性に近い考え方で僕は好きですよ」

という返信も含めて、なんだか好きなやり取りだった。

そう、書こうと思えば書けるようになるし、解消しようとすれば多分される。

そんなふわっとしたゆううつは、誰でもいつでも持ち得る。

「人と違うような気がして よく鏡を見てた 宇宙人や化け物じゃなくてよかった」

「でも言葉や思考を映す 鏡なんて無いから 安心できない 安心できない」

わかるわぁ

ていうか、わかるわぁと思える鬱屈方面に共感する言葉を繰り出す秋田ひろむがすげぇわぁ

「少年は闇の中 マルボロと車泥棒 不登校オーバードーズ 入り組んだ夜がある」

ここの韻の踏み方も気持ち良すぎておかしくなるかと思った。(?)

声に出して読みたい日本語、その2。

「少年は闇の中 十年経っても闇の中 襲われる『あの頃よかったよな』 振り解く『まだまし今の方が』」

ここで出てきた10年というキーワードで初めて、大好きな『性善説』が2013年の曲だと知る。

丁度10年。

誰にでもある過去の栄光に対し、少し大人になったamazarashiは今を肯定する。強い歌詞。好きだ。

「大人は少年を隠すけど 真夜中が暴くから」

ラストに一番やられた。

それまで、影や涙を隠してくれる夜と、隠したいものを暴く太陽という、ポジティブイメージの単語を仇のごとく語ってきた。

夜はどこまでも味方だ。

大人になって押し殺そうとした“少年”は、真夜中にあらわれる。

真夜中ならば。誰でも少年に戻る。

たまりませんな。この語彙。センス。

一発目から長々としてしまったが、彼らが積み重ねた10年の結果の『ロストボーイズ』によって、再び好きになれた。

活動を続けてくれていて、ありがとう。

 

『空白の車窓から』

じゃあ聴くか、と仲間っぽい『空白の車窓から』MVを再生する。

これも良かったなァ………

でも『ロストボーイズ』の方が好みだった。

『空白の車窓から』は前向き成分かなり強め。

でもMVめちゃくちゃ良いよね。

好みの差はあれど、大阪のライブに日帰り遠征した時は、新幹線で味わうように聴きましたね。別のアーティストのライブなのに。

「自由とはなんて寂しいんだろう」

文字に起こせばありふれた一文、しかし歌声は力強く、むしろ自由に伴う寂しさを受け入れている。好きな歌詞だ。

アルバムタイトルにもなっているし、『ロストボーイズ』がラスト曲だと思い込んでいた。

もう少し後にCDを買って、この曲順である事に秋田さんの決意表明を感じた。

 

CDを聴いたら絶対に長ったらしい曲感想を書くだろう。

そう危惧したので、でも我慢出来なかったので、先に『未来になれなかった全ての夜に』(BD)を買った。

バンドとして好きになったのは、ここからだ。

『月曜日』「息苦しい のは ここが」のところ、コーラスがめちゃくちゃ格好よくて、調べると豊川さんという女性メンバーだった。

「amazarashiって秋田ひろむ一人じゃなかった!?!?」

10年越しに知る情報。

いや〜豊川さんの声にもハマっちゃいましたね〜。

秋田さんの力強い歌声に負けない強さがありつつ支える感じが凄く好きでした。

ロストボーイズ』冒頭の美しい鍵盤の音も、豊川さんの演奏だったんですね。むちゃくちゃ好き。

 

『たられば』

『さよならごっこ

*『月曜日』

*『それを言葉という』

*『光、再考』

アイザック

『命にふさわしい』

『空洞空洞』

*『千年幸福論』

BDで聴いた中で好きなものでYoutubeにあれば、暇さえあれば聴いていた。中毒です。

特に*曲は凄いですね。

インプット量が多過ぎて、ブログという形である程度発散出来たものの、これからこれらの曲から受けた衝撃をアウトプットしていく作業が始まると思います。

『千年幸福論』はライブならではなのでしょう、パワーがハンパなくて、好きだが聴くのにも体力を要する。

主に月末処理で精神力が底をつくと聴いてます。体力が駆動します。

 

以降、『七号線ロストボーイズ』『ロストボーイズツアー(BD)』『末法独唱 雨天決行(DVD)』を集めてゆき、『スワイプ』の影響で『Village(映画)』も観ました。ただVillage本編にamazarashiは関係無かったです。主題歌じゃないんかい。(Youtubeにはハッキリタイアップってありましたね)

 

『七号線ロストボーイズ』の感想も多すぎて、別記事で書きたいと思います。全曲ハマってます。ちょっと今は優先度低いのですが。新アルバム『永遠市』も出ちゃうんですが。早すぎる。まだ『七号線ロストボーイズ』いけます。全然味するんですけど。

 

読む側からすると、好きなアーティストの感想なんてなんぼあってもええですからね。

取り急ぎ、2月から書きたかったamazarashiにハマったきっかけは、備忘録として書けて良かった。人間は忘れる生き物だからね。

人間なので、また、忘れる前に書きに来ます。

 

君たちを理解するのに10年かかったけど、自分の人生10年の結果もまた、君たちが必要になるような歩み方をしているようで良かったよ。

そして2回目だけど、活動を続けてくれてありがとう。

生きてりゃいい事あるもんなんだな。

 

 

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