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ヤバT仕事しすぎィ!!

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目に見えない物を生み出す仕事をしている。
音楽は"人の感情以外は何一つ、生み出さぬ仕事"かもしれない。
だけど素晴らしい仕事だという事を知っている。
少なくとも、我々 音楽が好きな人間は。
 
自分の仕事は素晴らしいと言えるだろうか?
毎日同じ事の繰り返しを狭いデスクの上で繰り返している。
何かを作り出せもせず、誰かを楽しませる事もできず、必要とされてるのかされてないのか、実感の湧かない仕事。
 
ヤバTの仕事はどうだろう。
面白い曲を作り出し、楽しい曲を繰り返し、狭いステージもどでかいステージも絶対に全力の、バンドという仕事。
我々が必要とした、ヤバイTシャツ屋さんの4thアルバム『You need the Tank-top』感想です。
 
 
01.Give me the Tank-top
 
タンクトップという言葉に隠して、"音楽"だったり、"ライブ"だったり、"楽しさ"だったり、"面白さ"という意味があるんだろう。
We need the "Tank-Top(音楽)(ライブ)(楽しい事)(面白い事)"という意味なんだろうな、ととりあえず1周聴き終わってそんな事を思いました。
 
おもろい事をくれ!!とがなりながらブチかます1曲目。
「ギーブミーギーブミー」の気持ちよさ。無条件で体が流れる。
相変わらず音はカッコよく気持ちよく。歌詞はめちゃくちゃだなぁ、と笑ってしまったけどぼぼちゃんの「タンクトップ!」が可愛すぎてどうでもよくなる。
可愛くない?え、待って可愛くない?
え、待って………かわE!!!!!!!!!!!!!!
 
02.泡 Our Music
 
タイアップ1個目。(クラシエ/いち髪 CM楽曲)
このCM川口春奈ちゃんも含めみんな楽しそうで可愛くて好きでした。
 
「Shout you!」の楽しさといったら。むっちゃ楽しい。
ライブ会場でみんなで一斉に飛び跳ねたり歌ったりできる日を夢見つつ、今は自分の部屋で1人、元気に飛び跳ねています。
 
「厳しい毎日耐えれへんくてね バタン、キューなってまう前に」
ここも好き。
厳しい毎日耐えれへんくてねって優しい歌い方と、バタンキューって言葉選びがカワイイ。リズムと合ってて気持ちいいのもたまらんです。
 
タイアップの時は企業や商品に合わせた言葉遊びがあるのも楽しみの一つ。
「新しい暮らしへ!(クラシエ!)」「Crush it yeah(暮らしへ)(クラシエ)」
1日終わってバタンキュー、お風呂入ってリセット、新しい明日へって意味と、クラシエ(企業)との癒着を掛けたワンフレーズ。天才か。
 
そんなつもり無かっただろうけど、今聴くと『新しい生活様式』にも掛かっているように聴こえる。天才か。
 
でも歌詞が途中で赤ちゃんプレイみたいになってしまうので取り消します。
 
03.J.U.S.C.O.
 
歌詞ちゃんと見なければスゲェかっこいい洋楽のバンドかと思った。
Just go on now(行くしかねぇー!!)だと思い込んで歌詞見たら「ジャスコイオーーーン!!」だった。
 
04.珪藻土マットが僕に教えてくれたこと
 
めっちゃ悔しいけどめっちゃ気持ちいい曲。
ラップ部分のメロウなメロディと言葉と音楽が噛み合う感じ、めっちゃ気持ちいいけど聴けば聴くほど『何を言っているんだ…』ってなる。(メロウの意味もよくわからないまま使っています。何を言っているんだってなったらスミマセン。)
 
真面目な話。
おちゃらけ系の音も作れるし、こういうしっとりした音も作れるってのはホントに凄いなぁと思います。
知識無いからなんて言ったら良いかわかんない、感覚だけの話なんですけど、これまでの3曲は尖った音がよく聴こえて、珪藻土は耳に柔らかく聴こえる。
 
05.原付~法定速度の範囲で~
 
めちゃくちゃ好き。
サビの気持ち良さが半端ない。
すごく良いサビなのに、歌詞はちょっと意味が分からない。だのに「二段階 右折!」で意味も分からないまま盛り上がらせられる。
意味を考える間も無く、気づいたら『うっせつ!』『さっせつ!』と手を挙げている。
こういう曲、ツボです。
 
意味は分からんでも、やっぱり良い歌詞だな~と思う。
「法定速度の範囲で とばせ」とか、「法律遵守し今夜はどこまでもいこうか」とか、なんかカワイイ。
ムカつく事とかあってわーーってなって今夜は走りたい気分!!みたいになった時に、法定速度の範囲で夜の県道をどこまでも飛ばしたくなる感じ。この曲をかけて。
 
地元の県道は真っ直ぐだったんで、暴走族が毎晩レースに使ってましたけどね。一般道で100km出して法律遵守せずどこまでも行ってたけど、暴走族じゃなくても飛ばしたくなる夜がありますからね。うちらは法定速度の範囲で十分じゃい。
 
06.sweet memories
 
これも大好き。
歌いやすいサビがとっても楽しい。
すいすいすいすい↑すいすいすいすい→すいすいめもっりー!って歌いたくなるよね。
エモい音に乗せて「かわいいあの子が 放課後に俺の上履き食べてた」ってとんでもない歌詞が飛んできた。爆笑した。
 
音楽の話。
 
めちゃくちゃエモい。
前奏とか間奏のギターソロ、めちゃくちゃ良いですよね。
無いはずの学生時代の甘酸っぱい思い出があるような気がして胸が痛くなります。
無いんですけど。
 
 
07.はやく返してDVD
 
ティーーーーポイントカァァァァドォォォォォ!!!オモチデスカァァァァァァァーーーーーーーーーーッ!!!!!」
 
08.NO MONEY DANCE
 
"このCDから1曲どうしても選ばないと足の小指を折る"って脅されたらこの曲を選ぶかなぁ…。
好きな曲、たくさんあるんですけど、NO MONEY DANCEのサビのノリの良さとかちょっと皮肉の効いた歌詞とか、3人仲良い感じが1番好きかも。
PVみんなで「イェーーーーー!!」ってやるとこカワイすぎ。ホント好き。
 
「税金ばり高い!!!!!!!!!!!」それな。
これを外で大合唱したら気持ちいいだろうな。ほんまに高いんだもん。
 
演歌が売れたのは、『共感できるから』だとどこかで聞きました。
普通の人の、普通の苦しみ、悲しみを歌っているからだと。
これもそれに当てはまるんじゃないかなと思います。
結局、わめいたって税金は下がらないし色々辛いことも解決しないじゃないですか。
自分の力じゃどーしよーもない事をデカい声で代弁してくれて、一緒に歌わせてくれるNO MONEY DANCEは演歌と言っても過言ではないかもしれないですね。嘘です。過言です。ロックです。
 
09.げんきもりもり!モーリーファンタジー
 
タイアップ2個目。(モーリーファンタジー限定プライズ登場記念ソング)
カラオケで「森森森森森森森森森森森森森森森森」を速度調整無しで地声で歌い切るのが夢です。
 
友人にPVを見せたら『なんで”いい”なの?』って聞かれました。
"生(お)い"です。

 

 https://youtu.be/SG9LANYl1Tg 

 

10.日本の首都、そこは東京
 
ぼぼちゃん曲!
良い意味で他の曲と雰囲気が違いますよね。音楽のジャンルが違うのかな。
なんだかオシャレ。
 
11.はたちのうた
 
タイアップ3個目。(MBS/ちちんぷいぷい 20周年記念楽曲)
普通に良い曲。凄く良い曲。
 
「はたちのうた わたしのうた」って凄く良い歌詞だよね。
これから20歳になる人がとても羨ましい。
 
「そーゆー ことばっか あんたまだ ぐだぐだぐだ いっちゃって!」のとこも気持ちい。歌いたくなっちゃう。
 
「180まで!180まで生きてやる!」ここも気持ちいい。
アルバム1周した後だと、ラスト曲へのフラグにも感じられる。
 
20歳はとっくに過ぎちゃったけど、何歳でも「まだまだひよっこです!」の気持ちでいたい。そしてなるべく多くの日を「まだスタート地点 最強の幕開けを」と思って生きていきたいね。
 
12.癒着☆NIGHT
 
タイアップ4個目。(スプライト/CM楽曲)
単体で聴いてた時は普通のラブソングかなって思ってたけど、アルバムのこの位置に置かれていることで印象が変わりました。
サビの盛り上がり方、これはアルバム前半の盛り上がり方じゃないなぁって。また上手く言えなくて申し訳ないんですけど。
ただぱぁーっと盛り上がって終わるだけの曲じゃなくて、恥ずかしい文章になってしまうんですけど”愛への祈り”みたいな…。
"永遠にくっついている事は出来ないけど、なるべくくっついてる時間が長いと嬉しいよね、なるべく長くくっついていられますように"っていう願いのような。
(ネガティブすぎですかね・・・)
 
好きなフレーズは「You check it!check it!」と「ギター!」です。
歌詞見ないで聴いてたら「癒着」に聴こえるのが面白かったり、ふつーにギターって言ったらギター鳴り出すところとか、楽しくて好き。
他にも、全体的に言葉遊びに溢れてますよね。
わい!ゆー!がWhy?You?に繋がったり。
大人優しさ→大人なんやしさ→大人のいやらしさ(これも恋愛と企業癒着に掛けてて、言葉選びが凄いなぁって思います)に繋がったり。
 
ずっとそうだけど、ヤバTって語彙力がものすごくありますよね。
喋るのが上手な人は語彙力が豊かなイメージがあります。
関西出身の方のラジオを聴いてると、語彙力の豊富さにびっくりします。
 
でも語彙力が豊富でも、それを受け取る側にキャパシティが足りてないと意味が無いんですよね。
自分は中二病を発揮していた頃、無駄に難しい言葉を使って『喋ってると疲れる』と友人から言われた事があります。ごめん。完全にこっちが悪い。もしくは西尾維新が悪い。
ヤバTの歌詞が凄いのは、語彙力が豊富と言っても難しい言葉じゃなくて、誰にでも分かる色んな言葉を知ってる所だと思うんです。
"癒着"から"むちゃくちゃ"って言葉に普通繋がらんって。ほんで"むちゃくちゃにしたいねん"って素敵なラブソングに普通ならんって。素敵。
難しい言葉も易しい言葉も自在に使える、こういう所がヤバTはヤバい。
 
13.寿命で死ぬまで
 
「急に居なくなってもうたら みんなびっくりするから」
「無理はしないでよ 我儘を言ってよ いつでも電話掛けてよ
幸せに暮らしてくれるなら それだけでいいんだから」
ここのありぼぼちゃんの歌い方が、これまでの曲と全然違くて、切羽詰まるというか、凄く力強く感じて、何回聴いても必ずここで泣いてる。
なんて言えば良いのか、全然薄っぺらに聴こえない。
ちゃんと生きなきゃな、生きたいなって思える。
 
「自分の美学を磨く人生を全うしてな
格好ええなって 言い聞かしてな」
 「幾つになっても 勘違いされて 上手く出来ない
自分の拙さや衰えに 自分が誰より傷ついているでしょう」
これはこやまさんが自分にも言い聞かせてるんだろうか。
『気をつけなはれや』でも「自分の人生 自分で決めて 上手くやりなや」と歌っていた。
この歌詞も凄く好き。
シンプルだけど、自分の人生自分で決めるのって中々難しいと思うんです。
それでも、それが大事だよって変わらぬメッセージを歌い続けてくれる。
大事にしよう。
 
「生きて生きて生きて生きて生きておくれよ」
こやまさんの歌い方も、これまでの曲と違うなぁって思った。
楽しい曲いっぱい歌ってくれたけど、最後の曲だけは"楽しませよう"っていう気持ちより、シンプルにメッセージ。言いたい事を歌ってるって感じ。
・・・・・・泣きますわ・・・・・・
 
創作活動も同じ事の繰り返しの部分が少なからず有ると思います。
例えば、ヒット曲の歌手が求められるのは、そのヒットした曲を歌う事ですよね。
本当は他に歌いたい曲があっても、求められるもの=仕事としては、ずーっと同じ曲を、何度も何度も同じクオリティで歌う事ではないでしょうか。
飽きそう。
でも、それが仕事なんだと思います。
そして、それを飽きずに毎回新鮮な気持ちで届けられるのがプロなんじゃないかと思います。
それを繰り返し積み重ねるうちに、本当に歌いたい曲が歌えたりするんじゃないでしょうか…。
 
『寿命で死ぬまで』も、ヤバTがたくさんの仕事を積み重ねて来たから聴く事が出来たんだと思います。
たくさん、"楽しい"を作ってくれたから、"面白い"を届けてくれたから、ヤバTを応援したい人がたくさん出来て、おばあちゃんの事を知ってる人がたくさん居たから。
こんなにうちらに響いたんだと思う。
 

https://natalie.mu/music/pp/yabat10


だけどそれだけじゃなくって、これからの困難な時代を生きていかなくてはならない、うちらに向けたメッセージでもあると思いたい。
誰にも予測できないこの事態、ほんとにもしかしたら明日、大事な人が居なくなってしまうかもしれないし、自分が居なくなってしまうかもしれない。
音楽の力はまじで凄いって信じてる人達が「寿命で死ぬまで しっかり生きておくれ」と歌ってくれている。祈ってくれている。
 
「大きい声で歌った」
この歌詞も良いですよね。
これだけの語彙がある人が、めちゃくちゃにメッセージを込めた最後の曲の、最後のフレーズ。
グッとくる。
 
 あまりに素晴らしい曲のあまりに多くの繰り返し。
全国で繰り返して積み重ねる、彼らのデスクは日本列島。いずれは世界になるかもしれん。
お客さんの楽しそうな顔を直で見られる仕事ってのは、きっとやり甲斐に溢れているのでしょう。
 
その分といっちゃ難ですが、ヤバT仕事しすぎなんですよ。
このアルバムだけでタイアップ曲が4つもあって、現在進行形で全国ツアーやってて、テレビも出てて、レギュラーラジオ始まって、フェスやら学園祭やら出演して。
体壊さないか心配だよ。
無理しなや。
 
大変な仕事を積み重ねていると思う。
人を"楽しませ続ける"という仕事を。
凄いなぁってイヤホンを抜いて、自分の仕事に向き合う。
何かにもならない繰り返しの仕事が山積みになっている。
多分、自分は彼らの事が羨ましい。
 
 
ヤバTは仕事をし過ぎている。
良い仕事を。