●問題発生です
照明がついた瞬間、雨が光った。
思ってたよりもたくさん雨が降っていて、びびる。
構わず始まる演奏、赤紫のライト。
明るみになったレインコートの観客が揺れ始める。
東京のド真ん中で雨ざらしになって音楽を聴く、なんとサイコな事やってんだ?と一瞬我に返る。
それから理解する、非日常に飛び込んだんだと。
見上げれば高いオフィスビルがあった。
白いレインコートの集団がゆらゆらする様は、まるで宗教かと思った。
これ現実?
なんでもいーや。
ただ、この狂気の沙汰を楽しもう。
●ペーパーロールスター
ミーハーなのでこの曲でドミコを知った。
やっぱりアガる。
雨なんざどうでもいいって勢いが気持ちいい。乗っかるぜ。
間奏の長いセッションが焦らす焦らす。
雨の中で音を楽しむ為の準備体操のつもり?
頭空っぽにして揺れてる間に、雨にも慣れてきた。
もー雨粒もあまり感じない。
良いじゃん、雨の野外ライブ。
そんな事さえ思い始める。
「こうなりゃ最後まで降り続けろ」と逆張りで楽しむ覚悟が出来た。
そこでブチ込まれるラスサビ、手を挙げて2人に応えたかった。
伝わったかな?
●怪獣たちは
12月の新木場STUDIO COASTが初ドミコで、その時は「ドミコのライブはひたすら2人の殴り合いを見てる感じ」と思った。
ライブっていうより、試合だと思った。
勝敗はないので変な感じだが、アホみたいなバイタリティで演奏されるセッションが、≪ドラムVSギター、先にぶっ倒れた方が負け≫ってテンションに見えたのだ。
「ドミコのライブってこんな感じなんだ」と思って野音のチケットも取ったのだが、全然テイスト違ってびっくりした。
"何らかのメッセージを込めてこちらに発信している"と感じた。
そのメッセージが何かは分からないんだけど、絶対に内側に向いたエネルギーじゃなかった。
外側の、つまり観客と日比谷の空間に向けてそのエネルギーは放たれていた。
だから余計に響いたんだと思う。
新木場のソリッドな音に対して、日比谷は丸っこく、キャッチーに聴こえた。
まろやかにリフレインする<なぜなんでしょう?>がとても良かった。
ドミコ、会場によってライブのテイスト変えてんのか?
(そうだとしたらヤバすぎじゃない?)
(それを確かめるためにビバラに行きたい・・・!)
●あたしぐらいは
笑ってしまうがライブが進むに連れて雨の激しさが増していった。や、やまねー!!
スロウな曲はさすがに手を挙げない。
じっとしてると、やっぱり意外と降ってる雨を感じる。
首の後ろに貼り付いたレインコートに当たる雨粒、流れていくのが分かる。
雨に打たれながら聴く「あたしぐらいは」がサイコーすぎる。
(東京の真ん中で何やってんだろう…)
という冷静な脳に絡みつく、さかしたひかるの美しいハイトーン。
(あー、これ聴きに来たんだわ。)
脳にボタボタとかけられる、まったりとした音楽のジュース。
糖類過多でおかしくなりそうだ。
でも美味しい。どうしようもなくずっと飲んでいたい。
●びりびりしびれる
かーっちょいーい。
<びりびり痺れるあたしの手でギリギリ息してるきみをバーン>のヤバさ。
駆け抜けた先で歌われる<朝なのか夜中なのかそのまま体は溶けてしまったのか>が良いよね。溶けました。
びりびり~の時じゃないけど、多分雷が光ったんだよなぁ。
持ってるぜ、ドミコ。
●血を嫌い肉を好む
正直音源よりライブの方が好き。
●こんなのおかしくない?(enc)
日比谷の夜を駆け抜けた。
スピードを緩めずキメにかかる最後の曲。
すげーーー良かった。キマった。
マジで野音、雨、おかしいって。マジで最後まで強くなりやがったし。
こんなのおかしい!!
と思いながら振る頭、もう足元は水没しとるし、レインコートの色んなところから雨が貫通してきてるのが分かる、だからもうどうでもいい。
<こんなのおかしくない?>
おかしい!!!
だからおかしくなるのだ。
レインコートを振り回し、びしょびしょになりながら手を挙げる、振る。
野外フェスのような優しさは無く、徹底的に傘を差すのを禁止され、異常行動の集まり。
<そんなにおかしくない>
こんな奇行の祭り、忘れないだろうな。
「雨を吹き飛ばすような演奏」なんて思ってもない事言わない。音で雨は吹き飛ばない。用意したタオルは全滅した。
良かった事と言えば、"雨のドミコ"という新ジャンルが開拓された事じゃないだろうか。
良い悪いっていうより、そういうジャンルだった。
もう1回体験したいかと言われたら、結構したい。
痩せ我慢だろうか?
それはもう1回行ってみれば、分かるんじゃないかな。