個人的に"ラスボス"と呼んでいる。
音の圧力、歌詞の世界観の凄まじさ、最後に待ち受ける圧倒的なカタルシス。
それまでどんな曲を聴いていても、ヨーロッパの前奏のためにドラムが鳴り出せば、一瞬で我々はその世界に没入させられる。
半分はポエトリーリーディングになっていて、歌ではなく、セリフのように言葉が紡ぎ出される。
ラップとも違う。韻を踏んでいるわけじゃない。
なのに音やリズムとぴたりと合って、"音楽"というものの気持ちよさを柔らかくぶつけてくる。
ふわふわのお布団がぎゅむぎゅむと体に押し付けられる感じ。
掴みどころのない、目に見えない、だけど確かに感じられる音の"G"(Gravity/重力)。
"ヨーロッパ"というタイトルから素直にヨーロッパ的なモチーフや歌詞が登場するわけではない。
何がヨーロッパなのか。
"革命"や"シチュー"は連想できる気もするけれど、かろうじてという感じで、断定するには弱い。
あれやこれやと考えているうち、気づけば長い語りに入っていて、その心地よさに身を任せていたら、油断。「レイトショーを観に」行く時にはもう、感動すら覚える音の盛り上がりの中に居る。
「きみの胸騒ぎが本当になるといいな」
今の所、この人生において、この歌詞以上に、心を震わされた歌詞は無い。
解釈はいくらでもある。
正解は無く、聴いた人それぞれが答えを持つんだろう。
"胸騒ぎ"という言葉は、正しくは心配事等で心が落ち着かない事を指すけれど、このどこまでも広がっていくような演奏を聴いていると、正しい意味で使われている気がどうもしないのだ。
だって全然ネガティブに聴こえないんだもの。
未来への期待を心に想う時、胸がざわつかないだろうか。ときめかないだろうか。
"これから何がはじまるんだろう。何をやってやろう。"と心臓が高鳴っている時、血液がポンプから排出される時、心臓は痛みを伴っていないだろうか。
この痛みは、心臓の高鳴りは、胸騒ぎに他ならない!
分かりやすい応援ソングは沢山ある。とても素敵だし大好きだ。
だけどこの曲は違う角度から、確かに人を応援する曲だと思っている。
歌詞の事を言っておいて難だけど、演奏(音楽)自体が、言葉に頼らず、背中を押してくれる感触がする。
後奏は、何か素敵な事が始まるような前触れのように聴こえる。
美しい夜明けのような。
だけど""胸騒ぎ"を"本当"にするのは、我々自身の手にかかっている。
あなたが新たな門出を迎える時、"ヨーロッパ"が穏やかに流れ、『何か良い事が起こるよ』と祝福を授けてくれる。
初めて聴いた時、聴き終わった時、曲に圧倒されてしばらくぼーっと天井を眺めていた時。
あれから、1度も曲の解釈が変わった事は無い。
これは、未来にときめいてる人への応援歌だと思う。
だから聴くたび、私は未来にときめきを持つ。
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絵の小噺
描きたいモチーフが多すぎる。
「暴動に荒れるチョコレート中毒」
「重力というピンによって地球に打ち付けられた標本のようだ」
「何かの為には生きてはいけないから永久に泥のように微睡んでいたいのだ」
画をイメージしたくなる歌詞が多いんですよね。大変素敵だ・・・。
今回入れなかったモチーフを入れて、またヨーロッパをテーマに描いてみたいです。
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ご挨拶
いつも閲覧ありがとうございます。
毎週、「閲覧数がゼロじゃない限り来週も続けよう」と決めてやってきました。
お陰様で休まず投稿出来ました。本当にありがとうございます。
よいお年を。
心の底から、幸せなよいお年を!