はじめ、「Tabula Rasa」というタイトルが発表された時、嫌な予感がした。
意味は「白紙」。
もう、創作意欲が無いって事?
そういやライブも久しくやってないなぁ。
このツアーが最後になったら嫌だなぁ。
悪い癖で、物事をマイナスの方向に考えてしまう。
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発表当時、あまりにモヤモヤしてしまい、上まで書き出すとこまでやった。
今は書き終えなくて良かったと思っている。
9/7(土) Tabula Rasa リリースツアー、西川口Hearts。
このタイトルの意味について、自分なりに決着が着いたので。
最近は全然People In The Boxを聴けていなかった。
家族に勧められたドラマを見なきゃいけなかったり。
兄弟に勧められたゲームをやらなきゃいけなかったり。
友人の間で流行ってる音楽を聴かないといけなかったり。
前日に慌てて適当に掴んだ「Kodomo Rengou」をなんとか2周できた。
結論から言えばこの距離感が良かったんだと思う。
Tabra Rasaも、聴く時間が無さそうだからストリーミングはやらなかった。
新曲たちもそうなんだけど、ライブ中にやった"昔の曲"(ブリキの夜明け、聖者たち、八月、ベルリン、ヨーロッパ)が凄い良くて、まるで初めて聴くみたいに「なんて良いバンドなんだ…!!」ってずっと思ってた。
ブリキの夜明け------------------------------------------------------------------------------------
"また1人席を立った"
3人で鳴らす、素晴らしく揃った切ない音楽がとても好きです。
聖者たち----------------------------------------------------------------------------------------------
当時は「タイアップ曲だからって毎回やりやがってー!!」と思っていましたが、久しぶりに聴いたらめちゃくちゃめちゃくちゃ良い曲じゃないですか。曲の展開とか面白いし。
八月----------------------------------------------------------------------------------------------------
これも切ないよねー。
"誰かが死にかけている"
ベルリン------------------------------------------------------------------------------------------------
やってくれて嬉しかったな~。
"レッドライト/グリーンライト"
"逆さに傘を差す"のあとのメロディも好き。切ない。
ヨーロッパ----------------------------------------------------------------------------------------------
やっぱりこの曲凄いですよね。
なんか、エネルギー凄かった。
"君の胸騒ぎが本当になると良いな!"って歌詞は人生でトップクラスに好きな歌詞で凄い歌詞だと思ってるんだけど、久しぶりに聴くとやはりその言葉の素晴らしさに感動します…。
新曲----------------------------------------------------------------------------------------------------
「忘れる音楽」が好きです。
Peopleを好きになった理由って、歌詞は意味深で不穏なんだけど、音楽が不思議とキャッチーで、さらに波多野さんの少年のような声が組み合わさって面白かったから。
音楽の事は詳しくないから上手く言えないんだけど、"切ない"曲が好きで、胸に「ウッッッッッ!!!」ってなるメロディが、あるじゃないですか??(アジカンのRe:Re:の出だしとか…サカナクションの目が明く藍色の出だしとかさ…)
前情報が全く無い状態で聴いた新曲たち、この「ウッッッ!!!」が非常に多くてですね。
「レイディオ」らへん、とても胸が痛い。
音楽や何かを好きになる時、理由を作ってしまう。
あの子が聴いてるから、あの人に勧められたから、今話題になってるから。
なんだか最近は、そういう事ばっか考えていちゃったなぁ。
People In The Boxなんてね、自分の周りで聴いてる人いないんですよ。
勧めても「ああ、あのPVが怖いバンドだよね?」って言われて終わる。
誰も聴いてない、誰も分かってくれない。
自分の環境を思えば、このバンドを聴く理由なんて無い。
なのに聴く事をやめなかった。
忘れていた音楽が演奏され続ける箱の中で、他人から勧められたわけじゃなく、You Tubeのオススメ動画で出て来たわけじゃなく、自分の意思でこのバンドを見つけて、そして聴いている事が嬉しかった。
音楽を聴く理由なんて本当は白紙で良いんだ。
自分の心が求めるものを素直に得ていけば良いのだ。
それがPeople In The Boxで良かった。
ここで鳴っている音楽を、白紙のまま受け取る。
それはなんて豊かで贅沢で素晴らしい。
このひとたちを、好きでよかった。