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木曜日/寝室

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『寝苦しくて目覚めたら豚がぼくに馬乗り』

なんともマトモではなさそうな始まり方。

『まったく神様のしつけがなってないな』

と、迷惑そうな素振りから、ペットのブタちゃんというわけではないらしい。

 

木曜日は難しい。

それまで、明確に"彼女"との繋がりを描いてきたのに、突然"豚"が出て来る。

シュールレアリスティックというか、突然のファンタジー!というか、とにかく掴み所を探すのに苦労してしまう。

出来事としては、火曜日に消えた彼女を水曜日・木曜日で探していると思うんだけど、この"豚"は一体、何の比喩なんだろう?

 

演奏も、それまでキメッキメのフレーズがバチバチ登場してきた反動か、一定のテンポでまったりと進む。

音自体を聴けば、癒し系というか、ゆったりした音楽が心地良い。

しかし、心地よい霧に包まれた音楽の向こうから、ぼんやりと不穏な歌詞が聴こえてくる。

『これ誰かの夢だ!』

 

この掴み所の無い感じ、まさに『夢』のような突拍子も無い場面。

薬物でラリっちゃったんじゃないかなぁ、と思う。(『金曜日/集中治療室』に薬物が出て来るんですけど、詳細はその時に。)

 

『寝室』には(かつて2人だったかもしれないが)今、主人公が1人きりだ。

これも他の曜日と違う所で、木曜日だけ"彼女"も"きみ"も登場しない。

ラリっちゃった頭で豚の夢を見ている。

豚に食われる夢を見ている。

『水曜日』で、「主人公は後悔している」と書いたが、その後悔のために、豚に食われる夢(=罪を受けるべき、という主人公の深層心理)を見ているのではないかなぁ。

主人公の脳内の話なので、1人しか登場しないと考えられる。

 

『夜のテント飛び出すとまっぷたつのミラーボール

中身 ぼくは知っていた』

彼女が消えて、探したり思い出に浸ったり、闇のように終わりの無い悩みから解放されたくて、薬物に手を出してしまったのではないか。

夜のテントから飛び出した(=薬物で覚醒した)ら、まっぷたつのミラーボール(=壊れそうな自分の脳内)から中身(=後悔)が溢れ出したんじゃないかな。

 

それほど主人公は絶望したんだ。

『これ誰かの夢だ!』と叫ぶけど、それは紛れもなく主人公の夢だ。

後悔する主人公をあざ笑うように、軽快で、そして重い、ドラムが鳴り響く。

豚の笑い声のように。

 

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最後の盛り上がって終わるフレーズはドラムの印象が強いが、よく聞くとギターがドラムにぴったり合って鳴っているのが分かって、すごい。(ベースも鳴っているんだろうか?)

CDだからぴったり合って当然、ではなく、彼らはライブでもCDと違わぬ演奏をする。

『木曜日/寝室』は滅多に演奏されないイメージだけど、きっとライブでやったらぴったりと合ってるだろう。観たいな。