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チキン冷めちゃった・・・けど演奏は激アツBillboard

 

忘れたくない事を記録するためにライブ感想を書いている。

PRONTでパスタ食いながら購入したチケットを確認する。

「タリアテッレ」って何なんだ。

パスタの一種だった。

3時間後にまたパスタ食うって事か。

そんな失敗も記録しておけば、ライブの思い出と結びつくだろう。

悪い事ばかりじゃないさ、きっと。

 

People In The Box Billboard Live 2023

12.09 東京 16:00

 

【セトリ】

懐胎した犬のブルース

カセットテープ

ダンス、ダンス、ダンス

自家製ベーコンの作り方

新市街

犬猫芝居

ニムロッド

螺旋をほどく話

世界陸上

ドッペルゲンガー

かみさま

En. 土曜日/待合室

 

(夜もあるし)曲数は少ないながら、圧倒された1時間でした。

いや、圧倒されるのはいつもの事か。

今回のライブ感想は残すべきか残さないべきか、5時間程悩んで書き始めました。

演奏についてより、ライブ体験についてが多くなってしまうからです。

 

先行に外れたのでビルボードの公式HPからチケットを購入した。

こんなん一生に一度しかねーべやと思い切って、ステージ階のテーブル席にしてしまった。

よく分からないまま"チキンのコンフィ・タリアテッレとともに"を選ぶ。

(ディナーショー的な感じなんだろうか・・・マナー的に食事を頼んだ方がいいのだろうか・・・)

よく分からないまま会場に入ると4人席に通され、3人の同席者と向かい合って座る。

 

緊張する~~~~~~~~~~!!!

 

いつもと違う空間、いつもと違う観客との距離、いつもと違うステージとの距離。

あらゆる緊張が襲いとりあえず「皆さんはよくライブ来られるんですか?」と話しかける。

本当すみませんでした。

緊張すると永遠に話続けるタイプなんです。

会社の面接もそうでした。

物凄くいい人達で、ライブが始まるまでピープルを聴き始めたきっかけや、今日聴きたい曲を話し合ったり、緊張がほぐれて本当に助かりました。

そして15:58に"チキンのコンフィ・タリアテッレとともに"が提供されたのは全くの計算外でした。

 

●懐胎した犬のブルース

意外な1曲目。

オシャレな空間にまったりとした音楽が心地よい。

ドラムからは遠い席だったが、すごくクリアに聴こえて良かった。

位置の問題?音響の問題?とにかく今回のライブ、ドラムがやたら素敵だった。

 

●カセットテープ

意外な2曲目。

心の中で(これが2曲目か~~くぅ~~~!)とガッツポーズしてしまう。

<優しいポルターガイスト 放っといても問題ないよ>

<贖う時代精神 驚いて笑い飛ばして>

アルバムの最後というのもあるし、3人でのコーラスは力が要りそうで、何となくライブ後半にやるイメージ。

それを2曲目でやるってのは・・・気合入ってんなぁ!

自然と体が揺れる。

 

●ダンス、ダンス、ダンス

アコギのアルペジオみたいな前奏を、実際に間近で弾いている所を見ると本当に凄い。

距離感はライブハウスとあまり変わらないような気もするが、観客同士の空間が広いのでステージがとてもよく見える。

演奏風景を堪能するには、ビルボードはとても良い。

ベースがリズムを合わせるためにドラムをよく見ている、のに気が付いて微笑ましい。

<ダンス!ダンス!ダンス!>の伸びやかなコーラスが気持ちいい。

大都会東京六本木の夜空を駆け巡る、そんな浮遊感。

 

●自家製ベーコンの作り方

ビルボードでベーコンかぁ・・・ロックだ。(?)

ポポポポン、と可愛らしい音で始まりロックに変わっていく、1曲の中で多面的な表情のあるピープルらしい曲だと思う。

 

●新市街

イントロ始まった瞬間にやけてしまいましたね・・・

ギターとベースの手元がよく見えるよく見える。ありがとうございます。

見えた所で理解は出来ない手元なのですが、見られて良かった。

『ダンス、ダンス、ダンス』と打って変わり、コーラスは高音。

使い分けが本当に凄いなぁと毎回思う。

ラスト、会場に響く<ばぁん>!

たまらないですね。

 

●犬猫芝居

<モルモット駆け出したら>猫に捕まる『犬猫芝居』。

連続でにやけてしまいましたね・・・

<世界が始まってから幾つかの革命の昼>の後のジャーッ、ジャッ(ギター)がなんかもう、格好良すぎて呆然としてました。

勿論ギターだけではなくベース、ドラムもタイミングを合わせて音を切りに行くのが凄いのですが、ギターがポジション的によく見えるから・・・笑

脇のスタッフさんもノッてたのが見えて良かったです。

良いですよね、『犬猫芝居』。

 

●ニムロッド

「今日聴きたい曲は?」という話の中で、「ピープルを聴くきっかけになった『ニムロッド』が聴けたら嬉しいです!」と話してくれた方。

おそらく我々のテーブルは、全員心の中でワァ・・・ア・・・!と声にならない叫びを上げていただろう。

会話聞こえてた?と勘違いしそうになった。

なんかね、いつもより感慨深かったですね(笑)

嬉しいやら格好いいやら演奏は見たいわで興奮しすぎて当時の事よく覚えてないです。(?)

 

●螺旋をほどく話

今年親の声より聞いたイントロ。

ライブハウスと聞こえ方が違うってわけじゃないんだけど、少し背筋を伸ばして聴きたくなる。

<姿勢は自然か>って歌詞のせいかもしれないが。

そして<悪くないね、気分は>!

この一言はピープルの音楽を楽しむのに最適なフレーズだと思う。

別バンドの曲になるがUNISON SQARE GARDENの『アイラブニージュー』の<今夜のライブも最高ですわ!>と重ねてしまう。音楽への愛を素直に叫んでしまうUNISON SQARE GARDEN(田淵智也)と、斜に構えながらも満足している事を最大限伝えるPeople In The Box(波多野裕文)。

印象的だったのは、MVと同じような照明。

照明の切り替わりもMVと同じタイミングだったのと、照明が落ちてステージ上がシルエットになる演出。

綺麗でした。

 

世界陸上

攻めてんなぁ!

色んな意味でキャッチーではないと思うが、演奏技術の高さを味わえるありがたい曲。

終わった後のMCでダイゴマンが「一回休憩させて?」とバテてた。

スゲー疲れそう。

すかさず波多野さんが「我々にとっての世界陸上ですからね。」ってフォローしてた。うま・・・いや、上手くな・・・いや、上手い!

 

ドッペルゲンガー

強いて言うならCamera Obscuraが聴けたら嬉しかったし、その中でも『DPPLGNGR』は一番聴きたかった気がする(今絵描いてるから)。

間奏の穏やかできらきらしたギター、からの轟音のアンサンブル。

ストレス解消になりますね。

 

●かみさま

優しく穏やかな音と歌詞。

しかしその全てに、「今言っている事はぜんぶ嘘だよ」と裏打ちされているような、そんな悲しさや切なさを感じてしまう。

<きみは特に優れてるとか きみは報われるだとか>

<手を伸ばしても空を切る 滑稽な鳥の墜落をみてた>

自分はここで必ず涙腺に来る。

この曲が悲しく聴こえるのは間違いないんだけど、同時に安らぎも感じる。

何かを掴みたくて、でも掴めなくて、ただ落っこちていくだけの滑稽な鳥に自分を重ねている。

だけど、落ちて行くのを見てくれている誰かがいる。

それが『かみさま』だと思うと、何も掴めず落っこちて行くのも悪くないな、と思う。

 

●En. 土曜日/待合室

演奏が始まった時は(土曜日に土曜日やるのはオッシャレ~~~~~~!)と興奮してしまいましたが、印象的だったのは直前の短いMC。

波多野「辛いニュースばかりで心が痛みますが、僕たちは日常を守っていきましょう。」

私事だがXのアプリを消し、週末にPCで少し見るだけになっている。テレビも朝しか見ず、良いか悪いか世の中の事に疎くなった。

だから今、どんな辛いニュースがあるのか知らない。

申し訳ないなと思いつつ、辛いニュースに心を痛めているひとが『土曜日/待合室』を最後の曲に選んで演奏する気持ちを、受け止めなきゃいけないなと感じた。

後奏の、丁寧に、つまびかれるギター。

歌詞にもあるように蒸気の向こう側で煙るような音が、会場を漂い満たす。

いつまでも聴いていたいという願いの中、夢から醒ます「ありがとうございました」。

それを合図に土曜日は終わる。

我々の土曜日は終わった。

 

●MC―お酒

波「皆さん、いい酒を飲んでますか?僕も一杯ひっかけたい気持ちです。・・・今夜は楽しんでいってください。」

お酒を嗜むだけで急に天上人から人間味が出ますよね。(?)

 

●MC―車輪を転ぐ話

ダ「みんなさぁ、チャリで転んだ事ある?」

会場「・・・ザワ・・・」

ダ「チャリで転んだ事ある人いる!?」

健「俺はあるよ!!(突然のビッグボイス)」

ダ「・・・」

ダ「俺はね、あんのよ。ドラムスティックが前輪に巻き込まれて、その後10秒位の事覚えてない。気が付いたら地面にいた・・・」

健「あー」

ダ「俺のはネットで3万円ぐらいのだからいいのよ。あなたたっかいチャリでしょ?」

健「うん。俺もね、前輪に傘巻き込まれて。壊れた部品の値段が5万だった。」

ダ「ごまん・・・!」

波「次いくよ!アンコールやるんだから」

雑談も聞きたいしアンコールもやって欲しい(欲張り)

 

●MC―グッズのキーホルダー

波「キーホルダーって、キー(鍵)をホールド(固定)するための物だって最近知りました。それまで"キーホルダー"っていう物だと思ってて・・・。"ふきのとう"みたいな・・・」

?????

例えのクセが強すぎて一番笑った

 

●MC―板

ダ「受注生産で、我々はついに"板"を売ります。」

波「次は板で稼がせてもらいます。」

※ジャケットアクリルボード企画

ダ「最近、グッズ会議ってのが開かれてるんですよ。」

波「オンラインで。僕が東京にいないから。画面上だった僕が、存在している事を今日は確かめてもらえれば。」

会場から盛大な拍手来て面白かった。

 

●MC―MC長くなりがち

ダ「(短めグッズ紹介)喋っちゃうからね。」

波「そして、それに乗っかる人間がここに2人(波&健)いますからね。」

全員じゃん。

 

●アンコール

『かみさま』終わって爆速で再登場。

波➡健➡ダ の順で出て来たけど小走りしながらダイゴマンが「はやっ!w」って言ってたのがウケました。

 

同席4人中2人が初めてピープルのライブに来て、しかも今年ピープルを聴き始めたという方もいて、羨ましかったです。

あの衝撃を、今から、新規で、味わえるんですよ・・・!?

いいなー。

自分がブログを始めた理由がコロナで「Peopleが万が一活動停止しても、良さをネットの海に放出しておけばいつか音楽業界の偉い人の目に留まるかもしれない」という身の丈に合わない想いからだった。

杞憂はほぼ去り、あとはもう「こんな執念深く1つのバンドについて語ってる人がいるなら、いっちょ聴いてみっか」と興味を持ってくれる人がいりゃいいな、という気楽な趣味になった。

でも普通に、彼らの音楽活動が新しいファンを獲得し続けている事が凄いと思った。

自分が最初にピープルに興味を持ったのは、イラスト付きのライブレポやファンアートを描いている人達のおかげだった。

その人たちの絵が素敵だったり、ライブレポに書かれた軽妙なMCの様子と真剣な演奏のギャップが気になって、ライブに行ってみたいと思ったのだ。

自分と同じような人が、いつかどこかで、「こんなバンドあるんだ」と気づいてくれる事が、自分の芯にあるのは多分・・・最初から変わらない。

 

『旧市街』『ニムロッド』のMVがピープルを聴くきっかけになったという話。

今日は新譜(Camera Obscura)の曲が聴けたら嬉しいという期待。

『カセットテープ』が一番好きだから、聴けて良かったと語る笑顔。

対バンでは激しい曲が多かったのでそういうイメージだったが、可愛らしい曲もあって意外だったという感想。

終演後、みんなで呆けて「カッコイイ・・・」しか言えなくなっていた事。

別れ際、「またライブ会場で!」と言ってしまった。

本当にすみません。

あんな事を言いたかったんじゃないんです。

本当に言いたかったのは、「話してくれてありがとう。緊張をほぐしてくれてありがとう。」だった。

もう顔も覚えていない。

だから気にしないで欲しい。

ライブは満足だしビルボードは素敵な会場だった。

ただ、最後に失敗してしまった事がどうにも心残りだ。

純粋に、People In The Boxのライブはとても良いから、ライブを見にまた来て欲しい。

そしてそれは、自分が言うべき事なんかじゃなかったのに。

歳取りましたね。

年々ふてぶてしくなる性格。

 

ふてぶてしく、演奏中は全く手をつけられなかった"チキンのコンフィ・タリアテッレとともに"を終演後急いで完食しました。

店員さんごめん。

 

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